出航
良いお年を
「随分クセの強い船長の船を捕まえたもんだ」
「申し訳ありません。ほかは満室でちょうど寄港したタラッパ船長に話を付けたので」
「何話してんだ!?」
「うおっ!」
ソランとコソコソ話してるとズカズカとタラッパ船長が近づいてきた。
改めて見るとカタギの人間に見えないな。妖精族の大陸に来る前に捕まえた海賊より海賊みたいな見た目をしている。
「いやいや、随分立派な船だと思ったんですよ。俺達だけが乗るのはもったいないな~」
「気にすんな!全室分の金は貰ってるし、人がいない分、積荷を積めるからな!おまけにSSランク冒険者たちがいれば航海中も安全だ!」
ガハハと豪快に笑うタラッパ船長。交渉したと聞いたが、金に物を言わせたのか。
ていうかソランは半額になったって言ってたけど、全室分の半額てことか?金銭面で心配はないとは言へ、随分豪快に使ったな。
「ほれ!もう出航の準備はできたんだ!乗れ乗れ!」
タラッパ船長に急かされて俺たちは船に乗った。
「ソフィア、フィー、ピクリナ。ユースケさんに迷惑かけないようになー!」
「分かってますよ。叔父様たちもお気をつけて」
「お酒は程々にねー」
「ん」
エルフ組も別れを済ませ出航する。
「次は魔族の大陸だな」
「はい。魔族は妖精族と同じ他種族国家ですが、どこもフェアリースのように街々で多数の種族が暮らしているのでエスリメの参考になるでしょう」
「気性の荒い魔族も多いからあんたは目を付けられないように気をつけるのよ」
「まじかー。しっかり守ってくれよ」
「もちろん」
ヴァイオレットが怖い顔をしながら脅してきたでそう返すと、彼女は可笑しそうに笑った。
「野郎共!帆を上げろ!」
タラッパ船長の号令に水夫たちがキビキビと出航の準備をする。
巨大なガレオン船がゆっくりと走り出した。
港を見ると、ルールーの姿が確認できたので軽く手を振ると彼女は軽く笑いながら手を振り返してきた。
「先ずは人族の大陸までか」
俺たちの旅はこれからだ!
最終回じゃないですよ




