苦手なタイプの船長
「……わかりましたよ。片手間でいいなら旅の途中、奴隷を見かけたら助けるようにします」
「ありがとう。それでは、これを受け取ってくれないか」
ルールーは壊れた首輪の印が刻まれたメダルを差し出してきた。
「これは?」
「奴隷解放クラブの証だ。これで我らは同志だよ」
「なんか怪しいんでやっぱ辞めときます」
このまま居るとズルズルと変な方向に話が進みそうだったから、メダルを受け取らず逃げるようにギルドから出ていった。
メダルは翌日、宿に届けられたので適当に放り投げると俺の目の前に転移してきた。
どうやら持ち主のもとに自動で戻ってくるらしい。
なにこれ無駄に高性能。呪いのアイテムじゃないよな?
「どうしようこれ……」
「転移以外、変な魔法も掛かってないようですし放置で良いのでは?」
エスリメから戻ってきたソランが俺のつぶやきにそう返す。
仕方なくメダルを袋に入れてソランに船まで案内してもらった。
「どの船だ?」
「こちらです」
案内された先には巨大なガレオン船があった。
ソランの話によると、普通は客室が満室になってから出港するらしいが交渉して俺達だけで出してもらえることになった。
さっすがソラン。できる男だ。
「オウオウ!俺の船を貸し切ったってのはオメェか!」
ガレオン船の船首からズシーン!とこちらに飛び降りてきたのはテンプレな海賊の船長帽子を被った眼帯の男だ。
「タラッパ船長、お世話になります」
「オウ!ソランか!お前さんの主はどいつだい!」
いちいち語尾に!が付くくらいタラッパ船長の声は大きい。
「ユースケ様、こちらが我々の乗る船の船長のタラッパ船長です」
「ど、どーも雄亮です。よろしく」
「オウオウ!よろしくな!」
握手しようと手を出すと何故か背中をバンバン!と叩かれた。
苦手なタイプだなー。人族の大陸まで船という閉ざされた世界でこんなのと一緒なのかー。
「ソラン」
「はい?」
一旦タラッパ船長から離れて小声でソランを呼ぶ。
「お前、やったな?」
「……何をでしょう?」




