酒好きエルフたち
「ありがとうございました。お陰で自由の身です」
「いえいえ。しかし皆さんお強いですね。殺さないように手を抜いていたとはいえウチの奴らと互角とは」
近くで見ると、5人の妖精族は皆エルフだった。なんとなく顔がソフィア、ピクリナ、フィーのエルフ三人娘とにているが同じ部族だろうか?
「ユースケさまー、応援に来ましたー……あれ?」
「終わってる……」
「あらら、暴れられなかったかー」
宿でフェリスから伝言を聞いたのだろうか。エルフ三人娘がやって来た。フィーは肩を落としているが、そんなに戦いに餓えていたのか?
フィーほどではないが、残りの二人も落胆している。最近彼女たちのキャラが掴めなくなってきた。
そんな彼女らを見て先程まで俺と話していたエルフが目を見開いた。
「ソフィア!フィー!ピクリナ!どうしてここに?」
「あら?」
「カリストおじさんだー」
「従兄弟ーずもいる」
やはり、ソフィアたちの一族だったか。そう言われると、族長とかなり似ている気がする。それに彼女たちの親戚ならその強さも納得できる。
「何で奴隷になんかなってんの?」
「いや……ちょいと酔い潰れたところに首輪をガシャンとな」
ピクリナに奴隷になった理由を問われ、カリストは恥ずかしそうに耳をポリポリとかきながら答える。
「あいつらドラゴンも酔い潰れる欲情を混ぜやがったんだぜ!」
後ろの従兄弟の一人がそう弁明するが、あまりにも情けない事情にソフィアたちは冷めた目で彼らを見つめる。
「情けないですね。わたしたちの師匠ともあろう人たちが」
「昔から皆は酒癖が悪かったお父さんからも注意されてたはず」
「申し訳ない」
エターナルブレイブの師匠だったのか。あの強さに合点がいった。
詳しく話を聞くと、カリストたちは傭兵を生業としていて久しぶりの里帰りのために港によっていたらしい。そこからはさっき話してたとおりだ。
久しぶりてエルフの時間間隔でそれなんだから、相当長い間村には帰ってなかったんだろうな。
「それでお前たちは何をしているんだ?さっきこの方を様と呼んでいたが」
「私たちは今、このユースケ様にお仕えしています」
「てゆーか、今村に戻っても皆エスリメに引っ越しちゃったよ」
「もぬけの殻」
「何!?するとどうしたものか……」
村がなくなったのがショックなのか5人とも固まっていた。長い間村を空けていたとはいえ、生まれ育った地には愛着があるのだろう。
「良ければ近くのエスリメへのワープゲートの位置を教えましょうか?とりあえず我が国に来るといいでしょう」
「いやぁ、何から何までお世話になります」
「そのままおじさんたちも住んじゃえば?」
「嬉しい誘いだが、やめておく俺たちはまだ目的を果たして無いからな」
「目的?」
「何それ」
「伝説の酒の湖を見つけること!」
勿体ぶってカリストたちがそう言ったので思わずずっこけてしまった。酒のせいでこんな目にあってるのに、まだ酒を追い求めるとは酒好きも極まっている。




