ジョーカーのモノマネ
「なーんだ。そんなこと」
どうしたものかと俺が悩んでると、ヴァイオレットが事もなげに行って目にも止まらぬ速さかつ、物音も立てず奴隷商をハッチの中に引きずり込んだ。
そこから流れるように口にタオルを詰め込み、腹に一発食らわすと白目を剥いてガクリと意識を失った。
奴隷商が暴れる暇もなかった。本人も何が起きてるのかわからなかっただろう。
「どうよ」
「流石。手際良すぎだろ」
「ふふん!」
得意気なヴァイオレットを褒めて、俺は視線をジョーカーに戻した。
戻したはいいけど、仮面野郎だからアイコンタクトが取れているか分からない。今微妙に頷いたのはこっちを見ている合図か?
『気絶させたぞー』
『ありがとうございます。ヴァイオレット殿は仕事が早いですね』
ジョーカーは俺に念話で返事をすると、奴隷たちから一旦距離を取った。
一時的にだがアキトが5対1を受け持つ形になるが、彼は巧みに双剣を使って妖精族の攻撃を受け流している。
「やめろ!もう戦うな!」
突然ジョーカーは知らないおっさんの声でそう叫んだ。
するとその声を聞いた奴隷たちの動きがピタリと止まる。
その隙を逃さずジョーカーとアキトが5人に手錠をかけて制圧した。
あの手錠は特別性で、付けると魔力を吸収して魔法を使えなくさせるのだ。
奴隷たちが振り返り、そこに奴隷商が居ないことを確認すると信じられないように目を丸くした。すぐに反抗しようとするが魔法が使えないため、身体強化すらできずジョーカーとアキトからの拘束を強めるだけの結果となった。
「終わったな」
「はいボス。ありがとうございました」
「構わないさ、やったのはヴァイオレットだしな。ところでさっきこいつらの動きが止まったのはどういう仕組みなんだ?」




