専属メイド
「帰ってもいいことはなさそうね。で?アンタはこれからどうしたい訳?」
ヴァイオレットは心底どうでも良いのか、ぶっきらぼうに言う。
ほんとに情ってもんがないなこいつ。ま、俺もちょっと面倒くいと思ってるけど。
フェリスは言っていいものかとキョロキョロと落ち着きがなくなる。
「さっさと言え。俺にできることなら叶えてやる」
生活の保証ならエスリメに送れば万事解決。簡単な約束だ。
「あなたのお側でお仕えさせてください」
「んへぇ?」
お側でお仕え?何故?正直言っていらない。
これまでの旅で不便だったことはないし、周りには化け物軍団のダンジョンマスターたちがいるから武力も問題ない。
「め、めんど……」
「できるかできないかなら、できますね」
「言っちゃったものは仕方ないわよね。じゃ、ユースケ専属メイドってことで」
「はいっ!よろしくお願いしますご主人様」
決まっちゃったよ。どーして安請け合いしちゃうかなぁ。地球に居た頃からいつもこうだ俺。フェリスはキラキラした目で俺を見つめてくる。
今更断るわけにもいかねーよな。
自主的に辞めるように厳しく接するか?
「仕方ねえな。だが、俺たちの旅に付いてくるのならそれなりに能力がないといけない。仲間たちの教育を受けてもらうけどそれでもいいか?」
「はい!もちろんです」
とんでもないスパルタ許育するように言って逃げ出すようにしてやろう。
今更知らないやつが仲間に入っても気まずいし、ただの人間なんて邪魔だもんな。
戦闘はヴァイオレットとエターナルブレイブ、礼儀作法はジョーカーとソランに教えてもらおう。
あれ?俺も両方足りてないか?俺も教育受けたほうがいいかな?
しかし、よく考えてみると俺ってエスリメの王族ってことになるんだよな?王族の専属メイドが元奴隷の平民ってのは外聞的に大丈夫なのだろうか。
……俺も元平民のようなもんか。むしろエスリメらしいと言えるな。




