助けましたよ
「助けていいのか?犯罪奴隷だったらあっちが合法だろ?」
「あの子が犯罪奴隷にされるほどのことをしたようには見えないけどね」
「犯罪奴隷には肩に犯罪者の刻印が刻まれています。しかし、あの子にはそれがありません」
この世界の合法な奴隷は、犯罪奴隷しかいない。他は身売りだろうと拉致だろうと違法だ。
「つまり違法に攫われたか身売りしたか。さっきの悲鳴を聞く限り少なくともあの子の意思ではないと?」
「はい」
ジョーカーはしっかりと俺に顔を向けて言った。
仮面で表情はわからないが、俺には見えない彼の目に力がこもってると感じた。
「……仕方ないなぁ。あの子の安全は俺が確保するから、お前らはあの男たちをどうにかしろよ」
「りょーかい」
「ありがとうございますボス!」
「よし、行くぞ!」
俺の合図と同時にジョーカーとヴァイオレットが路地裏に走り込み、まずヴァイオレットが女の子の鎖を持つ男の手を手刀でへし折った。
「ぐあっ!」
「な、何だてめえら!」
「おい、ジェズの腕が、コイツラ只者じゃねぶへっ!」
実力はその辺のごろつきレベルなのか、まともな警戒もせず、ヴァイオレットの力に驚いてるうちにジョーカーに数メートル吹き飛ばされた。
「ユースケ、こいつら冒険者よ。ランクは低いけど」
「拘束しろ。あとでギルドに突き出す」
鑑定眼鏡で首輪と手枷に魔術的なトラップがないことを確認する。これなら鍵を探さなくても力技で外せる。
「大丈夫か?」
「は、はい」
女の子はまだ状況がわからないのか大きな青い瞳を開いてキョトンとしている。
今気づいたがこの子、ぼろを纏わせたような格好だ。俺はアイテムボックスからマントを取り出し彼女を覆う。
「とりあえずこれで我慢しろ」
ようやく彼女は自分の状況を把握し始めたのか、ポロポロと涙を流し始めた。
両手で顔を覆いながら礼を言ってきた。
「あっ、ありがとうございます。うっうっ……」




