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病の正体

 子供たちを並ばせて一人一人にアメを配る。

 最後の一人はチナだった。


「何してんだよ」


「あははー。弟たちが並んでたのでつい並んじゃったです」


「……まあいいさ。ほら」


「ありがとです!」


 アメを配り終えると足元にドクタースライムがいた。

 紙を何枚か乗せている。


「何だぁ?診察結果か……フッ、ほうほう、これはこれは」


 想像もしてない診断結果に驚いて軽く笑いが出る。


「どうしたです?」


「あとで話す。それより今は飯だ」


 俺は数匹のスライムにある命令をした。

 スライムたちが出発するとちょうどシェフスライムたちの料理ができたようだ。

 俺は集会所に入ってきたシェフたちを一箇所布で覆った大きめの箱の中に入れる。


 別にスライム虐待をしてる訳じゃないぞ。

 スライムの作製仕事は全て体内で行われる。つまり出来上がったお粥を皿に入れようとしたら、スライムが食べたものを吐き出してる様に見えるのだ。

 汚い話で済まないが、お粥のせいで余計ゲロ感が際立つ。


 モンスターが(モンスター以外もだが)吐き出した料理を食べたい奴なんて、世界のほんの一部の変わり者だけだろう。

 見せなければ美味しいお粥なのだから隠した方が皆の為だ。


 布で仕切った間から皿を入れて五秒くらい待って皿を出すと細かく砕いた野菜が入ったお粥の上にソーセージが二本添えられて出てきた。

 味見に一口パクリ。


 うっま!調味料塩しか渡してないのに。

 野菜の旨味を余すことなく使ってるのだろうか。

 体の中で作ってるから旨味が逃げないのか?

 気が付いたら全て食べて、皿が空っぽになった。村人たちのうらめしそうな視線が突き刺さる。


「…………料理が出来たからここに並べ。おいガキ共お前らまだアメ舐めてるだろ。配るの手伝え」


 子供たちに配膳を手伝わせて配り終わる頃には、彼らが舐めていたアメも口の中から無くなっていた。


「よーし、手伝ったご褒美だ大盛りにしてやる」


「わーい!」


 今までしぶしぶ手伝ってたのに、現金な奴らだ。

 しかし作りすぎたな。まだまだ余ってるぞ。


「お代りしたかったら、皿をここに入れて五秒くらいしたら出せば注がれてるから」


 それだけ言って俺は村長や長老たちが集まってる一角に向かった。


「おぉ、ユースケ殿。このような美味しいもの初めて食べましたぞ。本当に感謝しますじゃ」


「それは良かった。ところで今回の病に関してなんですが……」


「ど、どうしたのですかな?」


 俺の神妙な表情を見て、老人たちに緊張が走る。

 これ言って心臓止まらないでくれよ、頼むから。


「ドクタースライムの診断結果によると、今回の病は呪いの一種だったそうです」

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