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ちょっとした昔話

「全く、リカヤの外への憧れには困ったものよ」


「リカヤはあなたの部屋にあった本を読んで外の世界を知ったと言っていましたが?」


 俺がそう言うと、爺様は肺の空気をすべて吐き出すように大きなため息をついた。


「そうか、あの子があれを読んだのか。あれはのう、若い頃の儂の日記じゃ」


「ということは、あなたは以前外に?」


「うむ、一族の使命を放り出してな。一族の使命というのは」


「ガガの力を抑えること」


 俺がそう言うと、爺様はフッと小さく笑った。


「リカヤが言ったのか。その通り。じゃが、ガガが何かまではあの子は知らんじゃろう。では、ガガの話からしようかの」


 ガガとは、大昔に暴れていた【邪神ギギ・ガガ】が人々に倒され精神と力に分けられた、力の方だそうだ。


 精神のギギ、力のガガに分けられ大きく弱体化したが、二匹は再び一つに戻ろうと互いを呼び続けた。


 ガガに比べてギギは非力である程度の力を持った者なら拘束することは容易だったので、リカヤや爺様の先祖である昔の人々はギギを封印し、ガガの力が弱まるのを待つことにした。


 邪神は人々の恐れを糧とするから、人々から忘れられれば力は弱まる。

 ガガをできるだけ人の目に晒さないようにするため、封印したギギをガガの苦手とする湖の中へ持っていきこの森全体に人避けの結界を作ることで、ガガを人々から隔離しこの血にとどまらせることに成功したのだ。


「それじゃあ、ガガが「ギギはもういいや」ってなったら結界の外に出ていくってことですか?」


「いいや、ガガは本能でギギを求めておる。知能は全てギギに持ってかれているから愚直にここを狙っておるのじゃよ」


 俺が耐性つけさせちゃうまで何百、何千年もギギを奪い返すためにこの森を彷徨いてたのか。


「しかし気の遠くなる話ですね。現在のガガがあの強さですよね?あとどれくらいの時間があればあれが無力化されるのか……」


「さあの。一つ言っておくが、あのガガは普段よりもずっと強かった。きっとお主の恐れを食らったのじゃろう」


「…………」


 うっわー、俺耐性つけるわ強化させるわで何一つ良いことしてねえじゃん。

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