謎の不気味なモンスター
「なんだこいつ……」
『さ、さぁ。俺も長いこと生きてますが、こんなモンスター見たことがないっす』
俺に追いついたモンスターの姿は異様だった。
まず、目、鼻、口が無い。さっきの雄叫びどっから出したんだよとツッコみたい。
体毛は生えておらず、気持ちの悪いねずみ色のブヨブヨとした肌をした犬のような体だ。
頭部は先程言った通り感覚器官のようなものがなく、形はウーパールーパーみたい。人だと耳があるべき所に六本の触手がピョピョピョッと生えてる。
そういやウーパールーパーのあの六本やつって何だろう………………ヒレ?
『現実逃避してる場合じゃないっすよ!?来ます!』
六本の触手が俺を狙って伸びてくる。
躱すと、触手はズドン!ズドン!と大きな音をたてながら勢いよく地面へ突き刺さってしまった。
柔らかそうな見た目なのに随分硬いな!
……今、触手が刺さった地面が腐った気がしたんだが?
『腐食攻撃っすね。生物ならひとたまりもありませんが、アダマンタイト装備なら耐えられるはず』
「この装備、アダマンタイトスライム装備何だけど?」
『…………ッスー』
スーじゃないが!?これ当たったらまずいやつ?
『と、とりあえず攻撃してみます!』
盾が魔法で風の刃、炎の矢、レーザーっぽい光を出すが、特にダメージらしきものが入ったようには見られない。
「駄目?」
『自分、あくまで盾なんで、こういった攻撃魔法は苦手なんすよ。剣の兄貴が専門っす』
「くそっ、もうなんでもいいから撃ちまくってくれ」
『うっす!アイスランス!ファイアウォール!サンダー!フラッシュバインド!ウォーターボール!マジックミサイル!』
盾渾身の小魔法群がモンスターに次々と直撃する。
キャインキャイン!
すると何かが効いたのかモンスターは子犬のような鳴き声を上げながら逃げていった。
「え?どれ?どれが効いた!?」
『っーと、フラッシュバインド、ウォーターボール、マジックミサイル辺りっすかね?』
「じゃあ、あいつがまた来たらまずそれらを撃ってみてくれ」
はぁー怖かった。気味悪いビジュアルだったな。あのブヨブヨした肌……鳥肌立ってきた。
〜〜♪〜〜♪
『ご主人、歌いましたか?』
「んなわけ無いだろ。歌が聞こえてきた方向考えろ」
遠くの方から歌声が聞こえる。これってソプラノっていうのだろうか?高い声だ。
あのモンスターのせいで摩耗していた精神が安らぐ。
気づくと俺は自然と歌声が聞こえる方向へ歩いていった。




