夜の森の中迷った
『……人、ご主人!』
「はっ!俺は何を?」
盾の呼びかけのおかげで気がついた俺がいた場所は森の中。
馬車のベッドで跳び跳ねて遊んだ後、疲れて寝たはずだ。
まさか夢遊病?夢遊病の原因ってなんだ?ストレスか?
確かに最近いろいろとストレスのかかることはあった。ニアラとの戦争、うるさい剣との会話……あれ?そんなに無いか?
「盾、どうして俺はこんな所にいるんだ?」
『ご主人が寝ていたら突然、ふらふら〜って馬車から出て行ったんすよ。俺は慌ててご主人に引っ付いたんです!』
ひとりでに歩き出したってことはやはり夢遊病か?
「にしても気味悪い森だな」
『夜の森って不気味っすよねー。猛獣やモンスターが出てくるかもしんないんで一応武装しといてください』
俺は盾の言う通り、久しぶりにアダマンタイト装備で身を包む。
うるさかったり、ビビリだったりするけど剣と鎧がないと少し心許ないな。
「盾、俺が来た道分かるか?」
『もちろん。案内しますよ』
盾の案内通りの道を行くが、どれほど歩いても馬車に辿り着けない。
むしろ森の奥深くまで来てしまってる気がする。
「盾!騙したな!?」
やはりコイツも剣と同様、邪悪なダンジョンマスターを主人なんて認めてなかったんだ。
『い、いや本当にこの方向から来たんすよ!…………ちょっと待って下さい?』
「何だよ」
少し待つと盾は再び口を開いた。
いや、口無いなこいつ。
『どうやら結界の中に囚われたみたいっすね。しかもかなり強力なやつ』
「マジ?一体誰が……」
まさかロメイア?
……違うな。彼女はソランたちと入れ替えでエスリメに行ったはずだ。それに加えてフェアリースを離れて一ヶ月も経ってる。流石に追いつけないだろ。




