こっそりゴーレム製法取られてた
『ゴーレムの超合金のおもちゃはないんですか?』
9歳の男の子からの便りだ。
「合金だってさ。アダマンタイトとかオリハルコンで合金作ってないのか?」
「作ろうとはしたのですが、良い具合の比率がまだ掴めないのです。強度が足りなくなったり、魔力伝導率が下がったり。助手君が試行錯誤中です」
働かせ過ぎやって、ベックも居るやろ。
助手、昨日世界飛行旅行から帰ってきたけど、げっそりしてたぞ。
ドラゴンに追い回されたらしい。
「そういや、関節をアダマンタイトにするのはどうなってるんだ?」
「飛行型にする前にソードゴーレムの関節をアダマンタイトにしてみましたが、強度が上がったことでより精密な動きができるようになり、使える技の精度が3割程上達しました」
「結構上がったな」
「ええ、既存のゴーレムたちも全て改造する予定です」
かなり大掛かりになるぞ。うちが金属スライム持ってなかったらできない力技だ。
関節を変えるだけでここまで性能が上がるとはな。
「こんにちはー」
「こんにちはエニシさん」
「先輩、どうしたんですか?」
自然にラボに入ってきた先輩にニアラは、慣れたようにメモリーを渡した。
「それは?」
「ゴーレムのデータです。ご存知ありませんでしたか?エニシさん、定期的にゴーレムのデータ回収に来てるんですよ」
ゴーレムのデータをどうして先輩が欲しがるんだ?
先輩なら自分でも作れるだろうに。
「べ、別にデザインとかコンセプト考えるのが面倒だったとか、手頃な使い捨てできる駒が欲しいわけじゃあないよ?」
楽に作れて手軽に捨てれる駒が欲しかったのか。
「ま、別に良いですけど」
「え?いいの!?人の手柄横取りしてる気分だったからこっそり取りに来てたのに」
「申し訳ないと思うなら、こそこそせず最初に一言入れてくださいよ。それにこうして取りに来たのはわざとなんでしょう?」
今まで俺にバレずに取りに来てた先輩が、俺がニアラと一緒に居る時に来るなんてミスするはずが無い。
「うん。もうこっそり来るのだるくてさ」
もうちょっと情のある理由だと思ってたから残念だ。
最近縁先輩を消滅させる方法考えてるけど、全く思いつかないんですよね。
封印したり、殺したりはできるけど自力で封印解いたり一瞬で蘇生できるから消滅させられない。
無敵生物すぎるコイツ。誰だこんなの考えた奴。




