第二迷路突破
「よーし、均、後は頼めるか?」
「はーい。分かりましたー」
捕虜収容所制作の残りを均に任せて、俺は依頼を出すべく冒険者ギルドへ行った。
「おー、雄亮久しぶり」
「蓮、論功行賞ぶりだな…………おい」
手を振って挨拶してきた蓮に手を振り返そうとすると、とんでもないものを見てしまった。
蓮とその仲間たち、そしてマオが一つの席で酒盛りをしていたのだ。
どうしてボスと冒険者が仲良く酒飲んでんだ。
「む?ユースケか。どうした?」
「依頼を出しに来たんだけど……それはこっちの台詞だよ!マオ、第二迷路のボスはどうしたんだ?」
「さっき突破された」
「さっき!?」
いくら蓮でもマオを倒せるわけがない。マオは第4形態まで変身してパワーアップできるんだぞ。
「マオは変身しなかったんだけどな。中々強かった」
「うむ。第1形態とは言え余を倒すとは成長したな」
笑い合って乾杯する勇者と魔王。こちらの驚きは無視かよ。
「なんで変身しなかったんだ?」
「ザコ敵の強さを考えれば、余は第1形態のみで良いと考えた。ボス戦は両者身代わり人形を持った命のやり取りではない所謂ショーのようなものだから変身して圧倒すると興醒めというものだろう」
ぐうの音も出ない正論だ。ということはマオは第3迷路のボスも引き受けるという事だろう。
「じゃあボス部屋を第3迷路終わりに移しておく。次は変身してくれよ」
「当然だ。今回の戦いで余は更に成長した。変身した実力は跳ね上がるだろう」
「あん時より強くなるのか……勘弁してくれよ」
泣き言を言う蓮を見てまだ第4迷路は完成させなくても大丈夫そうだと胸をなでおろした。
毎日コツコツ作ってるけど、出来上がりの気配が全くしなかったからな。
「それじゃあ頑張れよ」
「あ、雄亮ちょっと待て」
「何だ?」
「さっき他の冒険者たちが話しているのを聞いたんだが……」




