ガエルは天才
「うーん、嫌がらせかぁ」
家に帰った俺は、地球の捕虜の扱いを本やネットで調べていた。
軽く調べただけなのに、まあひどい。強制労働、虐待、虐殺。これ以上調べてたら鬱になりそうだ。
そもそも、嫌がらせって言ってもこういった兵士が直接被害を受けるもんじゃなくて、もっとこう、国の偉いやつが困る嫌がらせをしたい。
「うー」
「ガエルか。どうしたー?」
ガエルがハイハイで俺の部屋までやってきて膝の上に座った。
ペシペシと俺の太ももを叩いてくる姿は愛らしい。
「あええあう」
何かを言いたげな表情だ。他の子たちに何かあったのかと立ち上がろうとするが、ふるふると首を振る。
「パパが今何考えてるかってことか?」
「うーうー!」
そうそうと言わんばかりに頷くガエル。もちもちほっぺがプルプルして可愛い。
思わず指でぷにっと挟んでしまった。
「そーだなー」
俺がガエルに説明すると、膝から降りてゴロゴロと部屋の中を転がりまわって唸る。
何を考えてるのだろう?
「うーうー……」
「さーて、どうしたもんかね」
再び捕虜の扱いについて考えてると、転がりまわってたガエルがピタリと止まった。
「何か思いついた?」
「あっ!あっ!」
ガエルは壁に立て掛けてるアダマンタイトソードの側に行くと。
「びゃーーー!」
泣き出した。
「え!?おいおい、どうしたんだ」
慌ててガエルを抱っこすると、ピタリと泣き止む。
「ん?」
ガエルを剣に近づける。
「びゃー!」
遠ざける。
「…………」
「えー?何が言いたいんだ?……剣が怖いのか?」
今度は俺が唸って考えてると、ガエルは早く気付けとトントンと叩いてくる。
「んー?…………あーなるほど。お前は天才だなガエル!」
ご褒美の高い高いにガエルはご満悦だった。




