忘れられた捕虜たち
「ところで、これ何の書類なんだ?」
山の中から何枚か取って読む…………うーん、難しい言葉分かんねーや。
「捕虜関連の物ですよ。食事、場所、その他諸々の物品の」
「…………ほ、りょ?」
捕虜?孔明は一体何の話をしてるんだ?
「属国戦線で散々捕まえた敵軍の兵ですよ!」
「……あー!」
「忘れてたんですか……」
ブライシュクの件があったから完全に忘れてた。なるほどなるほど思い出してきたぞ。確か数万人の捕虜だったか。
そりゃ書類も沢山になるわけだ。
「今思い出した」
「今ですか……」
孔明が駄目だこいつという目で見ながら頭を横に振った。
申し訳ねえ。
「敵国への嫌がらせでしばらく返してやらないって話だったっけ?」
「はい。今の所一年は引き渡しを伸ばせそうです」
数万人の捕虜がいても、そいつらから得られるDPで賄えてるからこちらの懐は痛まない。
対して敵軍は90%以上が捕虜になってしまった為、どこも人手が足りなくなってるらしい。
捕虜の返還を要求されてるが、こちらは宣戦布告されてなかったから彼らは国の兵ではなく大規模な盗賊団ですと言って無視してる。
「今は一時的に留置場に入れてますが、一年は無理ですよ」
「うーん、捕虜って言えば強制労働か?でも、もうちょい国に嫌がらせしたいなぁ」
「具体案はあるんですか?」
「…………持ち帰っていい?」
帰ってからゆっくり考えよう。
「できるだけ早くお願いします。決めてもらうにしろ、こちらに任せてもらうにしろあなたの一声で動くんですから」
「へいへい。明日までには考えておくよ」




