ランページゴーレムドッキング
「なんじゃこりゃ!?」
ランページゴーレムの砲撃によって全滅しかけていたモンスターたちの中の一匹が突然、とてつもない咆哮を挙げたと思ったら、モンスターたちの肉片や、他の生き残っていたモンスターがそいつに引っ張られるように吸い寄せられ……融合?していった。
いや、なにかヤバそうだが潰すなら今のうちだ。ランページの高火力ならどうとでもなる……あら?砲撃が止んでる。
「ニアラ!早く撃って撃って!」
「はあ、ユースケさん。合体中に攻撃なんてどんな敵役よりも空気読めてませんよ」
いや、ロマン優先するなよ!
「もういい、ランページゴーレム。一斉射撃!」
これ以上ニアラに何言っても無駄なのが分かったから、俺が直接ランページゴーレムに命令した。
「ああ!なんて無粋な!」
やかましい。
しかし、俺の空気の読めない(読まなかった)攻撃も虚しく、モンスターは完全に融合し、五十メートルを超えるだろう巨大な一匹のモンスターへと変貌した。
その姿は合体の核となったモンスターのシルエットをしているだけで、肉片が大量にくっついているだけだ。正直言うとグロい。
「そんなことよりランページが通用しないぞ!どうするんだこれ」
「ご安心をユースケさん。ランページには奥の手があるのですよ」
ふっふっふ。と笑いながらニアラがそう言い合図をすると、二列目、三列目のランページゴーレムが、それぞれ前のランページゴーレムの背面に両腕の大砲をドッキングし始めた。
「あれは?」
「ランページの腕砲からドッキングしたランページへと魔力を注入しているのです。ドッキングすればする程魔力弾の威力は上昇しますが、砲身の強度上、現在は三機までが限界です」
先頭のランページゴーレムの、人の体で言うと太もも辺りからアンカーが射出され地面に固定される。そして右腕の砲身で左腕の砲身を支え、左腕に全魔力を集中させた特大の魔力弾を射出した。
魔力弾は明らかに砲身よりも大きい。どうしてそんなサイズの物が打ち出されるんだとツッコみたい。
16の魔力弾が直撃したモンスターは多少よろめいてこちらへと走ってきたが、二射、三射と連射されると徐々にその肉体も砕け、やがてボロボロと崩れていった。
「やばかったな、耐えすぎだろあいつ」
「距離があって良かったです。あのサイズだと他のゴーレムの攻撃は象を針で突くようなものでしたから……」
だから最初から叩いとけば良かったんだ。
実はドッキング時ハブられたランページゴーレムが二機居ました。
縁先輩が新世代を弱らせて無かったら、周囲の土や森の木々も融合して山より大きいモンスターとなってランページドッキングでもどうしようもない事態となってました。普通にマオ出動案件です。




