これからのエスリメ
「教えてくれないか?」
「それは……エスリメがこれから世界の戦乱の中心となるからです」
どうしてそうなるんだ!
縁起でもない事言うなぁ。
「へ、へえ。そう思う理由は」
「エスリメには高度な技術、貴重な武具や魔道具、全世界に通じる交通網があります。これらを、肉食獣の目の前に肉をおいたように魅力的であると感じる国と、自国の商いを妨げたり、人口を奪われるエスリメを目の上のたんこぶと思う国がいるでしょう。その2つの立場の国たちで戦いが起こり、その時エスリメも知らぬふりはできないはずです」
エスリメを直接狙うのではなく、他国同士の戦いに巻き込まれるってことか。
「だが、エスリメが介入することは他国も分かるだろう。分かっていながらそう簡単に戦争は起きるものか?」
「確かにエスリメにはダンジョンマスターの方々やアダマンタイト装備、新型ゴーレムなどの大きな力があります。しかし、世界は広い。ユースケ様の知らない強者は数多く居ます。現にユースケ様は私がダンジョンに来るまで万剣の英雄の名など知らなかったでしょう」
「確かにベリルのような強者が束になればエスリメとて無事では済まんか」
「もちろんエスリメは負けることはないでしょう。しかし、強者によって足を引っ張られることになることは間違いありません。そんな者たちと私は戦いたいのです」
「強者と戦い己を高めたいということか?」
こいつ意外とバトルジャンキーだったのか。
「そうですね。私はもっと強くなりたいのです。マスターソード様やダンジョンマスターの方々のような次元の違う強者が多く居ます。そしてアダマンタイト製の武器。私の万剣の力を最大限活かすなら極端な話、私の武器を全てアダマンタイト製にしてしまうのが一番の近道です。強者との修行、装備の充実これを成せるのはエスリメしかないと思いました」
結局俺に取り入って、武器や修行相手をもらおうということか。
こいつ頭いいし行動力も半端ないな。自分が強くなる為の最短距離を行ってる。
 




