とあるバカガキ勇者
え?なんであの戦場に居たかって?僕の意志じゃないですよ。旅の途中で出会った聖女さんが聖戦の気配がします!って無理矢理連れてこられたんですよ。
まさか敵があのエスリメだとは思いもよりませんでしたが。
いや、僕も騙されてたんですよ。エスリメが他国の人々を拉致して奴隷として働かせているだとか、属国の人たちから搾取しているとか、戦場に行くまでに色々な所で言われたから許せない!と思ったんです。
まさか完全に立場が逆だったとは思いませんでしたよ。
まったく、リシーアさんには困らされますよ。僕のゲーム器を見て邪器だ!とか言って壊そうとしてきたり、セラさんに自分の宗教の教えを延々と聞かせたり。
一番驚いたのは戦場で味方のテイマーのモンスターを殺し始めたことですかね。
普通に犯罪なはずなのに
兵士の皆さん誰も何も言わずにひたすら目を合わせないよう避けるだけなんですよ。テイマーの人たちは別の戦場へ行ったらしいですけど。
いざ戦いになるとリシーアさんはやはり強かったですね。ロボットみたいなゴーレムをレーザーみたいなので蒸発させて戦場に彼女が通った跡が見えましたから。
怖かったのはやられた兵士さんが敵陣の方へ引きづられて行ったことですかね。後で聞いた話だと、他の戦場だとほとんどの兵士さんが連れて行かれたそうじゃないですか。
蓮さんの言っていた戦場の恐ろしさはこれなのかと、分かった気がします。
その後、今回の戦争は連合軍側に非があったことを知って、僕はセラさんと一緒に戦場とリシーアさんから逃げました。
リシーアさんは三日後、何事も無かったかのように合流してしまったんですけどね。
彼女の笑顔が恐ろしいです。
(とあるバカガキ勇者)
蓮「違う違う違う」




