妖精族との交渉完了
「ではそういう運びで」
「よろしく頼みます」
妖精族側の頭のいい交渉役と孔明がそう言って笑顔で握手をしていた。
今まで何時間も会議をしていたのだから二人の笑顔は本物だろう。
俺?真面目に聞いてても分からないから、ロメイアと一緒にゲームをしていた。
一応、一割くらいは聞いてたからどんな結果になったのかだけ分かる。
妖精族はエスリメが敵国から攻められたときは種族を挙げて共闘する。エスリメは共闘に加えて今後、新開発されるゴーレムを各村、街に貸し出す。
今回の賠償金や物資もあるからエスリメにとってかなり不利な内容に見えるが、ニアラのしでかしたことを考えれば、加えてニアラを処刑すると言われても仕方なかったはずだ。
孔明が上手く交渉してくれたお陰だな。ゴーレムの派遣や物資などでニアラの命を買えたと思えば安いものだ。
彼女はエスリメのこれからに必要な人材だから。
「ロメイアさん、外の俺に惚れてたそうですね」
「てた、じゃなくて、てるなのー。まだ諦めてないのー。あっ、あなたも嫌いじゃないのー」
嫌いじゃないの…………元々は一人だったのにどうしてここまで差ができてしまったのだろう……。
「しかし、どうして今まで逃さないようにしていたのに今、解放する気になったんですか?」
ロメイアだけがここに来ているということは、あっちの俺が旅に出ることを彼女が許したということ。ヴァイオレットの報告からはそんな様子微塵もなかった。
「ダーリンは旅をして自分を磨くの。今度会うときはもっともーっと良い男になってるはずなのー」
育つまで収穫を待つってことか。大変だなぁ…………待てよ、一人に戻ったら他人事じゃなくなるぞ!いや、この人美人だし、立場の釣り合い取れてるから悪い話じゃない?
…………考えても無駄か。未来の事は未来の俺に任せよーっと。




