洗脳されてる間の罪
彼女たちとの会談の後で、捕虜になっているニアラのモンスターたちが返還される。
このことは、ロメイアたちと一緒に来た指揮官格のダンジョン産妖精族の二人が報告してきた。
「それでユースケ殿、彼らを……」
ロメイアの側近の後ろにいる周囲に萎縮している子どもたちについて聞いて、俺は思わずニアラの方を見てしまった。
子どもたちは俺の養子ということにされているらしいので、とりあえず海賊から助けられた子どもたちと同じ施設に入ってもらうことにした。俺の家の隣なので世話や護衛の大人は多いから大丈夫だろう。
今日は顔合わせ程度の話し合いだったので、妖精族一行をホテルへ送るよう部下に頼み、俺はニアラと街を歩きながら話をすることにした。
「ニアラ、あの子たちは」
ニアラはずっと俯いていて何を考えてるのかは分からない。
俺が続けて言おうとすると彼女は口を開いた。
「…………はい。洗脳されていたとは言えあの子たちの家族を奪ったのは私であるという事は変わりません」
「あの子たちの中にはいずれエスリメの上層部になる子もいるかも知れない。そうなれば隠し切ることは無理だぞ」
「もちろん。彼らが復讐を望むのならこの首喜んで差し出しましょう」
「いや、新型ゴーレム開発もあるんだからニアラに死なれると、とても困る」
俺が真面目な顔でいうと、ニアラは吹き出して笑った。
何か飲み物でも渡しておけばよかった。
「ユースケさんは私に死なずに罪を償えと?」
「償うかどうかはニアラが決めることだ。もう、エスリメにとってあなたは居ないと困る人材だという事実を言っただけだよ」
「そう、ですね。とりあえずラボに戻って新型の開発に着手します」
仕事をやってる方が気が紛れるか。
さて、俺は妖精族の子どもたちの方へ行くか。一応親って事になってるからな。




