ハイドゴーレム
会議が終わった後、俺はニアラのゴーレムラボまで来ていた。
ロールアウトはまだだが、プロトタイプは造られてるらしいからそれを見に来たのだ。
「見てください。これがSLMP-1プロトハイドゴーレムです!」
型式番号まで作ってるのか。本格的だ。
プロトハイドゴーレムは通常の二メートル型ゴーレムよりも大きい。三〜四メートルくらいのサイズで、胴体が人が入れるポッドになっており、脚部が足元に行くほど太くなっている。
胴体だけアダマンタイト製で他はオリハルコン製だ。
「見ても外見の変化しかわからない。具体的な機能を教えてくれ」
「まず透明化の魔法によって視覚的に敵からは発見されなくなっています。ホバー走行が可能で消音の魔法により音でバレることもありません。ミスリル、オリハルコン、アダマンタイトの中で最も軽量なオリハルコンを主に使用し、護衛対象を収容する胴体部をアダマンタイトにして速度と強度を確保しました」
ホバー走行……てことはジェットでストリー厶なアタックができるのか!
まあ、このハイドゴーレムは隠密特化だから戦闘には期待できないか。隠れて助けたら速攻逃げるのが仕事だからな。
しかし、一日でできる仕事じゃないぞこれ。
「素晴らしい出来だよニアラ。初号機がこれなら次も期待だな」
「ありがとうございます。しかし、このハイドゴーレムは短時間で設計した為まだまだ改良の余地は残ってます。今回の作戦でそれが見極めれるはずです。それと現在設計中の格闘型、射撃型、高機動型のゴーレムは属国戦線に配備して評価する予定です」
追加で三機も量産するつもりなのか!?
元々は敵キャラだったやつが味方になった途端弱くなるゲームとか多いけど、彼女はその真逆だ。
むしろ味方になってますます活躍してる。
「それじゃあ早速ゴーレムを食わせるスライムを召喚……」
「いけません!ゴーレムはそのままでこそゴーレム。スライムに食わせてしまったらゴーレムスライムじゃないですか。精霊を宿らせて自律行動できるようにしているのでスライムは不要です」
だめなの?今までゴーレムはスライムに食わせてきたんだけどなあ。
技術者のプライドってことか?まあ、スライムに食わせなくても性能は高いからいいか。
「わかったよ。それじゃあ俺は帰るわ」
「お子様たちに顔を見せないと忘れられてしまいますからね」
「…………まじで?早く帰らないと。まあ、家の長男だけは特別だろうけど」
「長男、ですか?」




