ダンジョンバトルの裏で起きてたこと
「みんな聞いてると思うがもう一度説明するぞ。俺たちがダンジョンバトルをしている間に起きた問題は2つだ。一つ、属国の周辺国による侵略行為。それは駐屯していたゴーレムたちとそれぞれの国の兵によって退けられた。現在は国境で緊張状態らしい。二つ目、国外に避難していた国民たちが襲撃を受けた。孔明、後は頼む」
こんな胸糞悪い話、自分で言いたくないから孔明に任せる。
「故郷へ一時的に避難していた民たちの一部がその故郷の人々によって捕らえられ、奴隷として連行させられているそうです。国がかりで罪をでっち上げられていることから、目的は我々への挑発と思われます」
その国の上層部がこの内容の密談をしている所を、スライムが監視カメラで撮影していたからこの情報は確定だ。
だが、たかが挑発ごときで元々は自分の国民にここまで酷い仕打ちができるのか。
それ以上に少し前までは隣人だった人々を簡単に売り飛ばした住人たちに俺は怒りを覚える。
「だったらカメラの映像を各国に見せて、エスリメが抗議して国民たちを返して貰えばいいんじゃねえか?」
「だめだチース。このカメラは良くも悪くもまだエスリメ独自の技術だ。いくらこちらが証拠だと騒いでも、向こうがこちらの作った偽物だと主張すればどうしようもない。仮に信じてもらえたら、今味方の国も敵になってしまうぞ」
密談をこっそり撮ることのできる国と仲良くするお人好しはこの国の長にはいないだろう。
侵略行為に関しては逆に侵略してやれば終わりだが、こっちはそう簡単じゃないはずだ。
「いえ、今回は武力行使でいきましょう」
孔明の思わぬ提案に会議室のみんなが息を呑んだ。




