論功行賞
翌日、俺は冒険者たちとダンジョンマスター、妖精族の大陸から帰ってきた兵士たちを広場に集めた。
その内容は論功行賞。活躍した奴らにご褒美をあげる会だ。
「冒険者ベリル殿、前へ」
ソランの読み上げにベリルが集団の中から出てきて、簡易玉座(簡易と言ってるが俺にとっては座ってるだけでストレスが溜まりそうなくらい豪華)に座っている俺の前まで来て膝をついた。
「立つといい。君は俺の臣下じゃない。冒険者なんだから膝はつかなくていい」
「いえ!このままでお願いします!」
えぇー、良いって言ってんのに。今別件で苛ついてるから、俺は少しのことでキレちゃうぞ。
ベリルは立つ気が全く無い。ソランに目配せすると彼はそのままベリルの功を読み上げた。
「ベリル殿はワールドトレントとの戦いにおいて多大な戦果を残し、味方主力の消耗を最小限とした。よってベリル殿にアダマンタイト製の剣十本と千万DPを贈呈する。又、特別にユースケ王と話す権利を与える」
最後のなんじゃそりゃと思われる権利だが、これはベリル自身がワールドトレント戦の時、ソランに要求したものだ。
別にそんなの無くても話せるのに。他の国だと王様とは簡単に話せないんだろうな。
「ベリル、俺に何の話があるんだ?」
「はっ!ユースケ様にお願いがあります。私はエスリメ国に仕官したいのです。お許しをいただけますか?」
「……………………ん?仕官なら普通に街で受け付けてるんだが……あ、なるほど。良いだろう。許可する」
多分ベリルは元々エスリメに仕官するつもりだったんだろう。ただ、普通に仕官するのと王の許可を得て仕官するのとじゃあその後の難易度が大きく変わる。
分かりやすく言うとベリルは出世コースに乗ったというわけだ。
ただ、あれだけの活躍をしたのにこの程度の見返りは与える側の俺が釈然としない。俺が関わっても関わらなくてもベリルなら早く出世できただろうし。
何かしてあげたいな…………よし。
「ベリルは新たに組織する近衛隊の隊長に任命する。ここに居る冒険者で他に仕官を望む者が居れば望む配置をしようじゃないか」
俺の思い付きに冒険者達がざわついた。
この反応だとかなりの数が仕官してくれるんじゃないか。
勝手なことしたから孔明がジロリと睨んできた。
俺はスッと視線を外す。いーじゃん、俺王様なんだから多少無茶言っても。




