世界の崩壊
地球に生命が誕生した頃って…………先輩の種族は何十億年も昔から地球にいたってことか。
「なんとも途方も無い話ですね」
「でもよー、そんくらいぶっ飛んだ奴らじゃないと俺っちたちを一方的に洗脳なんてできねーだろ」
先輩が話しているのを聞きながら俺が入れた茶を飲みながら、ニアラとカスターはそう言った。
ニアラは戦闘力ならこの世界の神の一柱のダンジョンコアの父より上だったな。ランキングがニアラより上のカスターもきっとそうだろう。
そんな二人を傷付けることなく洗脳した強者たちの背景と言われれば納得もできる。
「世界の不具合ってどういうことですか?」
世界が作られたものなら不具合も生じるのは分かる。しかし、何をもって不具合とするのだろう。
「世界の不具合ってのは何かしらの要因で小世界で起こらなければいけなかった歴史、事象が起きなかった場合に発生する歪みのようなもので、放置しておくと歪みが他の小世界と繋がって、放浪者でもない生物が吸い込まれて繋がった先の世界にさらわれてしまう大変厄介なものなんだ。歪みを放っておくと……」
「放っておくと?」
「一番規模が小さな被害で、歪みが生じた小世界がバラバラに砕け散る。最悪の場合、他の小世界が連鎖的に崩壊して、中世界の中にある半数近くの小世界が崩壊してしまう」
「崩壊するとそこに住む人々はどうなってしまうんですか?」
「世界の崩壊ってのは、空間がビキビキッとガラスみたいにひび割れて最終的に完全に割れてしまうんだ。もちろん人々も空間の中にいるから一緒にひび割れる。だけど、実際に死んだのかは分からない」
「それじゃあ」
「この分からないは、希望があるって意味の分からないじゃないよ。崩壊した小世界を復元することはまだ誰もできていない。崩壊した世界の時間は止まってるから、意識があって時間が止まってる間も周りを認識できた場合、永遠に割れた世界の中に閉じ込められることになる。僕は崩壊後の世界の破片を見たことがあるけど、実際に崩壊している所は見たことが無いから正確なことは何も言えないんだけどね」




