放浪者
「中世界を移動できる唯一の種族が、先輩たちってことですね」
「全ての世界を自由自在に渡ることのできる種族を『放浪者』って呼ぶんだよ。で、僕は放浪者と人間のハーフで突然変異が起きた『新世代』と呼ばれる放浪者だ」
うーん、分かるような分からないような。あまりにもスケールの大きい話だからな。 大世界の中に交流不可能な中世界群があって、その更に中に召喚とか転生とかなら移動できる少世界群があり、その中が今俺たちが住んでいる人界ってことでいいか?
うん、なんとなく分かったぞ。
「上位世界の住人には、生み出した世界に創造者本人が干渉してはいけないというルールがあるらしくて、世界に何か不具合が生じたら創造者の手足となって不具合を調整する種族が必要になる。それが放浪者なんだよ」
「上位世界ですか。その創造者はどんなことを思ってこの世界を作ったんでしょうね」
「夏休みの課題だって言ってたよ。この規模の世界は上位世界でもかなり優秀らしい。彼女まだ成人してないのに凄いよねー」
俺らの世界が生まれた理由夏休み課題かよ!
そして創造者は女性らしい。
当たり前のように先輩は世界の創造者とコンタクト取れるんだな。
「放浪者の特徴は三つ、不老、魔法が使える、全ての世界を自由に行き来できる。魔法の才能は全世界でもトップクラスになるよう設定されてるらしいよ。さて、そんな放浪者たちは地球に生命が誕生すると同時に生み出され生活し始めた。本能的に魔法を使える彼らは何不自由なく古代の地球で生活していた。しばらくして、創造者が放浪者の一人にお告げのような形でコンタクトを取ってきた。その内容は『世界渡り』の魔法の使い方と放浪者の使命についてだった」




