小世界、中世界、大世界
「このカスターさんはダンジョンマスターとしての力は無いってことですか?」
「そうだぜー。ごめんなー、本来なら恩人のエニっちゃんのお気にのお前と同盟を組んでやりたいところなんだけどよー。今の俺っちには俺っち自身の武力しか持ってねーんだよー」
思ってたよりもこの人、癖ありそうな話し方だな。
さっきはどうもしか言ってなかったから。いや、どもーの時点で片鱗はあったか。
「オホン、そんなこんなの努力の甲斐があって、泳がしてた方のカスター君が黒幕と繋がってることがわかったんだ。結論、黒幕はラスボスだった」
「この前先輩がおちょくりの手紙を出した?」
「そう、それ」
おちょくって馬鹿にしてる奴に一回殺されたのか。恥ずかしいな。
俺だったら次おちょくる時思い出して恥ずかしくなる。
「でもカスター君に関しては気づかれてないからイーブンだよイーブン。次に聞きたいことは?」
「俺、そろそろ先輩の種族の話について聞きたいです」
今まで気になっていたが、聞けなかった話。お喋りな先輩が話さなかったからそれには相当な理由があるはずだ。
だが、今回の件があって俺も先輩と先輩の敵について知っておかなければと思った。だから聞くんだ。
「その説明は……長くなるよ」
「構いません」
「いや、僕が疲れるから嫌って話だったんだけどね」
随分勝手な理由で渋ってた。
「じゃあ、まず世界についての話をしないといけないね。雄亮君、世界はどんな姿をしていると思う?」
「世界、ですか?それは魔界、人界、天界の三層構造ですよね」
「それは一番小さい括りの世界だね。それを仮に小世界と言おう。小世界に含まれているのは直接繋がっている世界。簡単に言うと召喚とか特別なことをせずに、歩いたり飛んだりしていく事ができる範囲だよ」
「じゃあ、元の世界で言うと宇宙全体で一つの小世界ってことですか?」
「そうだね。その小世界同士で召喚魔法なり、転生なり、とんでもビックリ科学技術なりで移動できる範囲が中世界。小世界と小世界の間では時間の連動はしないから、歴代の勇者や転生者はこっちではバラバラな時代で生きてるけど地球で生きてた時代は似たような時期なんだ」
「小、中があるってことは大世界もあるんですか?」
「正解。中世界の集合体が大世界。一つの種族を除き、中世界から中世界を移動することはできない。大世界こそこの世界の全貌で、後はこの大世界を生み出した者の住む上位世界があるって感じだね」
 




