11位ダンジョンマスター
「と言っても、彼も洗脳されてたんだけどね。この更に裏に真犯人がいるんだよ」
「…………」
思ってたよりも事が複雑で何の言葉も出ない。
強制的に召喚された二人に至っては状況を理解することもできてない。キョロキョロしている。
「おいおい、そこはさー、いや裏の裏は表やないかーい。バシッだよ」
「はっ倒すぞ」
「もー、冗談通じないなー」
ははは、と軽く笑って先輩は、たまに見せる真面目な顔になった。
「さて、君たちは何が知りたいのかな?」
「エニシさん、この方は確か11位のダンジョンマスターではありませんか?」
転移した直後、ぎょっとした表情で男を見ていたニアラがそう言うと、先輩は頷いて肯定を示した。
「うん、その通り。11位ダンジョンマスター、アンデットの支配者リッチのカスター君だよ」
「どもー」
アンデット…………死者ってことだよな?見た目は普通の人族にしか見えない。
匂いも特に腐った匂いとかはしないな。
「じゃあカスターさんも洗脳されていることはどうしてわかったんです?」
「まず妖精族の大陸にいる君と会ってから、一応ニアラちゃんについて調べてみようかと思って調べてると、洗脳されてたことが分かったんだよ。それでその洗脳が一般的な魔法とかでは解除できなかったからさ、これは裏に同族の気配がするぞ!って思って更に調べると何故かカスター君に行き着いたってわけさ」
「なるほど。先輩って裏で相当動いてたんですね」
「そうそう!それでね、カスター君から事情を聞くために分身の魔法の改良版で魂のみの分身……分魂かな?まあ、気付かれないように分魂させてその魂をクローン体にぶち込んで話を聞くことにしたんだよ」
どうしてそんな回りくどいことをしたんだろう?ニアラみたいに治せば一発だったのに。その場合カスターにも呪いがあったら先輩死んでたかもしれないけど。
「洗脳されてる末端のニアラちゃんは泳がせてもカスター君止まりでしょ。僕はカスター君の裏にいる奴を調べたかったから、本人から聞くプランと泳がせるプランを同時に実行するためにこんな面倒、工夫をしたんだ」
言い切ってから言い直したな。




