何事もなく?
「いやー、参った参った。一時はどうなるかと思ったよ」
「本当そうですよ。てっきり俺、先輩が死んだかと思ったじゃないですか」
ダンジョンバトルが終了し数時間後、孔明から休憩を与えられた俺は自宅に帰って先輩と話している。
ヴァイオレットが叫んだ数秒後、先輩は光の粒子になり直後、おなじみの空間割りでひょっこり帰ってきたのだ。
「死んだのはマジだよ。マジ死」
「え?」
「ダンジョンバトル中に話したでしょ?僕を殺す方法」
「えーっと、先輩の想像もつかないような方法で即死でしたっけ?」
「そうそう。だってさ、洗脳を解いたやつが死ぬ呪いなんてややこしい物、普通使わないでしょ。しかもあれ解けるの僕だけだし。やっぱり敵は僕狙いだったってわけだよ!何年越しの罠だよ!まったく」
腕を振り回しながら憤慨する先輩。情報が足らなさ過ぎて、言ってることにほとんど付いていけない。
「そもそも普通は死んだら死んだままなんですよ。身代わり人形でもないようだし、生き返ったのはどんなカラクリなんですか?」
「所謂残機ってやつだね。魔法で作ったクローン体に魂を移して僕は常に活動しているんだよ。もちろん、クローン体がやられたら魂は本体に自動送還〜」
「それって不死身と言うのでは?」
「元々僕の種族は即死しなければ魔法で回復できてたんだよ。僕はそこにちょこっと付け足しで即死しても大丈夫な種族にしたの。これぞ進化だね!」
ラスボスにしてはいけない人材ナンバーワンだなこの人。
「で、やっぱり敵はの件はどういう意味なんですか?どこからとこまで先輩は知ってたんですか?」
「んー、それを説明するならまず被害者を呼ばないとね」
先輩が指を鳴らすと、二人の男女が転移してきた。
一人はニアラでもう一人は。
「誰ですか?」
「ニアラちゃんを裏で操ってた人」
犯人強制召喚!?




