激闘の末
今はそんなことよりヴァイオレットたちだ。ソランの権能のおかげでニアラの捕獲がしやすくなった。
捕まえさえすれば、先輩が洗脳を解くと言ってくれているから本当にあと一歩の所まで来ている。
「どういう訳か弱体化させる術があるらしいわね!でも、こっちはまだ本気じゃないからぁ!」
ニアラは先程の弱体化していなかった時よりも素早い動きで五人のダンジョンマスターを切り捨て、三人のダンジョンマスターを吹き飛ばした。
「本当に先程までは全力じゃなかったのか……」
「これが腐っても元妖精王の力か」
「腐ったなんて言うな!死ィネェ!」
ニアラの重たい連撃を受け止めたソランの脇から、ヴァイオレットが防御がガラ空きのニアラの顔に向けて鉾を突き上げた。
しかし、それはニアラの魔法障壁によって阻まれ、逆にニアラの風の刃がヴァイオレットに襲いかかる。
ヴァイオレットはその刃をバク転などアクロバティックに躱してソランと入れ替わるようにニアラと切結び始めた。
ニアラの光剣と打ち合った隙にヴァイオレットが火球を左右から二つずつ放った。
二つは蹴りと片手ではたき落としたが、残りの二つが直撃し、ニアラの右手と左の頬が炭化した。
「うっ、痛いじゃないの!」
ニアラが苦痛に顔を歪めながら光剣を大上段に構えて薙ぎ払うと、光剣が伸びてヴァイオレットとソランを含め周囲のダンジョンマスターたちを吹き飛ばし、壁に叩きつけた。
「ぐあっ」
「もう、限界かも」
苦しげな表情で膝をついてヴァイオレットはとうとう弱音を吐いた。
「だけど……まだ倒れるわけにはいかない!諦めない」
「素晴らしい心意気だヴァイオレットさん。後は余に任せよ」
鉾を杖のようにして立ち上がる彼女の肩をぽんと叩いて、ようやくここまで辿り着いたマオは第二形態へと変身した。




