光化
ニアラの正面にソラン、背後にヴァイオレットが回り込んでそれぞれの獲物を彼女に向けた。
「ヴァイオレットにソラン。ただでさえ骨の折れる相手なのに……どうせお前たちも生き返るんでしょーね!」
「正解だ」
ヴァイオレットとソランが同時にニアラに迫り、矛と剣が彼女を貫くかと思った瞬間、ニアラは光となって二人の攻撃をかわして、少し離れたところで実体化した。
「はぁ!?」
「ウィルオーウィプスの光化です。自身を光とすることで物理的にも魔法的にも干渉を無効化します。しかし、使っている間は知能が低下し続けるので数十秒も使えば、実体化することができないくらい頭が悪くなってしまうから使い続けることはできません」
「なるほど!使い続けるとどうしようもないアホになるのね!」
ヴァイオレットの言い方だと、実際はとても強い能力なのに安っぽく感じるな。
それにしても、そんな技があるならどうしてさっきの調子乗りダンジョンマスターの攻撃は避けなかったんだ?
回数制限でもあるのか?だったら今のソランとヴァイオレットの攻撃は、その大技を使うくらいニアラにとって脅威だったのか。
「ヴァイオレット殿!」
ソランの声に反応して、ヴァイオレットとソランは再びニアラを挟んで立った。
「あぁ!何でもかんでもバレててイライラするけど、さっきのピエロとアホが無くなったとか、後三個とか言っていたってことはあんたらの不死身も無限じゃないと見た!これをくらえぇ!」
再びニアラが腕を交差させてあの光線の構えをした。
あれは全範囲を攻撃するから、ニアラを挟んでいるソランとヴァイオレットは一人で防御しなければならない。
二人はやむなく一人で魔法障壁を展開した。
光線が止んでみんなの姿が見えるようになる。
「何!?」
光線を食らったはずのダンジョンマスターたち全員が魔法障壁による防御を成功させていたことに、ニアラは目を見開いて驚きの声を上げた。




