黄金龍
「くっ、私と同等の力か……しかし」
「貴様はまだ本気を出していない……だろ?」
そうだった。敵は人龍、つまりドラゴンの姿が本来の奴の本気なのだから、変身を解けば数十倍も強くなる。
「見せてみるがいい。人龍の真の力とやらを」
「この姿を見せるのは魔族殿で十三人目だ。そして私の本来の姿を見て生き残った者はいない」
「ほう。なら余が一人目という訳か」
「ほざけぇ!」
変身を解く影響か、人龍は吠えながら変化していった。
体表にびっちりと鱗が生え、体も大きくなっていく。
数秒も経たないうちに人型だった人龍は、全長数百メートルはあろう黄金色の巨大な龍となった。
「ふむ。あれだな。雄亮たちの世界の西洋のドラゴンと言うよりかは東方の国々に伝わってるタイプの龍だな。ボールを集めたら願い事を叶えてくれそうだ」
黄金の鱗が光を反射して龍自身輝いてるように見えるのを見ながら、マオは全く狼狽えずにそう分析した。
「マオ様、それは流石にやばいですよ!一旦退きましょう」
「なあに、やってみなければ分からない……さっ!」
ゼカイの静止も無視して、上空の龍に向けて跳躍したマオはそのまま拳を叩きこもうとしたが、龍の尾ではたき落とされた。
「マオ!」
「大丈夫。かすり傷だ」
頭を押さえながら立ち上がったマオは顔の上半分が血で真っ赤になっていた。
それはかすり傷じゃなくて、致命傷って言うんじゃないのか?
「む、まだ生きているのか。素晴らしい頑丈さだ。その頑丈さに免じて名乗ろう。我が名は黄金龍ゴルドザー。今より全身全霊で貴殿を倒そう」
「倒す?素晴らしい冗談だゴルドザーよ。余も名乗ろうか。魔王……はこの世界に既にいるのだったな。では、我が名は大魔王マオ!この世界に闇と混沌をもたらすそんざいである。我が覇道を遮るものは無いと知れ!」




