煽りスト縁
その後、部隊の編成や国民への公式な説明などをしていたら24時間はあっという間に過ぎた。
『よくもこんな舐めきったことしてくれたね!よっぽどロメイアのことが好きなのかしら!』
「さあどうでしょう。少なくともあなたよりかはよっぽど好感が持てますね」
ニアラは黒髪をお下げにしていて、普段ならば優しい目つきな学年に一人はいる図書委員系女子のような見た目だった。しかし今はその目をきっ、と釣り上げていて怒鳴り散らしている。
見た目と言動の差がすごいな。
『ちくしょう。どいつもこいつも私の邪魔しやがって…………アンチマジックダンジョン、ニアラ』
「スライムダンジョン、雄亮。ダンジョンバトル、れでぃーごー」
「なんか力がこもってませんでしたね」
「しょうもないけど、ニアラがあんな感じの奴なら挑発になるんじゃないかと思った」
「良いね!敵を煽っていくスタイル僕は好きだよ!」
先輩からサムズアップとともにお褒めの言葉を頂いたが、あんな挑発で釣れたら苦労しないだろうな。
「ここで終わらせたらそこまで。この調子でチクチクやっていけば、いつか相手は切れる。煽りストは根気が大事なんだ!」
気分が良くなったのか先輩は熱弁をふるい始めた。
「煽りストなんて……嫌な人種ですねそれ。先輩は煽りストなんですか?」
「どうだろう?一応、姿を表さない敵の首魁に向けて、場所は把握してるよー。でも、黙っててあげるー。てかさっさと降伏してくれないかな?僕も暇じゃないんだけどって手紙送ったことあるよ。ガチ切れしてて面白かった」
「え?もうラスボスの場所分かってるんですか?」
「うん、割と初期の段階で。まあ、まだ準備が十分じゃないから対決はしてないけどね。敵の行動は全て僕の手のひらの上さ」
チートすぎる。
序盤でラスボスの位置分かるとかズルすぎるだろ。
「あまり自分を過信しすぎて失敗しないとこですね」
「言うね孔明くーん。この縁、失敗は人生で一度きりでいいのだよ」




