今回は先輩も参加する
「それじゃあ作戦はその方向で進めてくれ。ところで、エスリメから人はどれ程逃げたんだ?」
「商人や観光客はほとんど全員出国しました。国民が国外避難したのは一割も満たないです」
驚いたな。商人や観光客が逃げるのは想定してたが、国民ももっと逃げるかと思ってた。
…………外に逃げてもバトルがどれ程の期間になるのか分からないからか。数年とかだと飢死してしまう。
俺は改めて自分の背に、全エスリメ国民の命を背負っていることを自覚した。重すぎる。俺なんかが背負えるものなのだろうか?そもそも俺なんかが背負っていいものなのかも分からない。
「そう心配するなよ。今回は僕もいるから」
「先輩?」
肩にぽんと手を置かれたので見ると、笑っている先輩がいた。
「コホン、縁さん、一応軍議なので勝手に入られるのは困ります」
「いやーごめんごめん。今回のバトルは僕も参加させてもらおうかと思ったから」
「そうですか助かります。ではお一人でダンジョン攻略をお願いしてもよろしいですか?三日以内で」
「孔明君、流石にそれはズルくない?参加すると言っても僕は敵のダンジョンには足を踏み入れないよ。あくまで君たちが手に負えられない件で手助けするだけだ」
否定しなかったが一人で三日以内に攻略はできるのだろうか?
先輩ならできそうだな。
「なんだ、使えませんね」
「これは手厳しいね」
先輩の乱入もあって、終わりかけていた軍議はそのまま解散した。
「俺たちの手に負えないことってなんですか?」
「君たちが頑張れば分かることだから気にするな。今は僕が必要になる前に負けないことだけを考えな。君たちが限界まで頑張ってどうしようもないときに僕は動くのだから」
俺の質問にははっきりと答えず、先輩は俺の家に来て子供たちと遊んでいた。
先輩って子供好きだったんだ。




