ロメイア焼き
「そうか。それじゃあ俺にはニアラと養子関連のことは黙っててくれ。絶対にうるさいから」
俺が知ったら絶対小言を言ってくることがわかるソランたちは苦笑いで了解した。
ソランたちがパーティーに行った日、やはり俺は呼ばれなかった。
一人では狩に行ってはいけない俺は暇になったのでロメイアに連れられ、フェアリースを散策することになった。
「あれは何だ?」
「ロメイア焼きなの」
ロメイア焼きはここの名物でしっとりした生地にほんのりとした甘味のあるロメイアの形をしたお菓子だ。
甘味はこの世界では珍しいな。旅をしていて初めてであった。
「主を焼いたり食べていいのか…………?」
「ロメイアがオッケーしたから問題ないの」
そんなもんなのか…………ユースケ焼き、だめだな。他人が俺をパクパク食べてるのを想像してみたがなんか嫌だ。
「ダーリンの国の安い砂糖を使うことで前より甘くなったの。ダーリンは妖精族の子供たちの英雄なの」
「そんな大袈裟な」
そこまで言いかけて考えた。特に子供時代ってのは無意識にお菓子を求めるものだ。
この世界ではお菓子、特に甘味は少ない。糖はエネルギーの塊だから人間なにかする時はそれを分解してエネルギーとして使う。
この前孔明から報告が来てたがエスリメとそれ以外の子供の基礎能力に差が出てき始めているとあった。
エスリメがきちんとした教育機関があるからだと思ってたが栄養が十分に体中に回ってるということも要因の一つなのかもしれない。
「どうしたの?」
「いや、何でもない。城においてきたガキ共にも買っていってやるか」
城の子供たちには既にエスリメのお菓子を与えてるからこれじゃ物足りないかもしれないけどな。
ロメイア焼きを買って後ろを見ると、ロメイアは消えていた。
まさかニアラに誘拐されたか!?今ロメイアが居なくなればまっ先に俺が疑われる。そう思って慌てて探すと、彼女は空き地で子供たちと追いかけっこをして遊んでいた。




