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スライムダンジョンのダンジョンマスター 〜俺だけが召喚できるスライムを使って一大国家を作ります〜  作者: 白街
9章 妖精王とダンジョンマスター

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死を受け入れる覚悟

 扉を開けてはしごを降り、今度は鍵のかかってない扉を開くと、十三人の少年少女と六人の赤ん坊がいた。


「大人はいないのか?」


 俺の質問にウンディーネの少年が恐る恐る頷く。一番年上らしく、この少年がリーダー格のようだ。

 大人たちは自分たちを囮にして子どもたちを匿っていたってことか。


「パパは?ママは?お兄ちゃんたちは誰?」


 六、七歳くらいの少女の問に俺が黙っていると、察した年長の子供たちが泣き出しそうな顔になった。


 我慢はしたのだろう。しかし、それもすぐに決壊し大きな声で泣き出してしまった。

 年長の涙が伝播して現状を理解できていない子供たち、赤ん坊も次々と泣き出してしまった。


「出るぞ。うるさくてかなわない」


「…………冷たいのですね」


 シースナが珍しく俺を避難するように言った。


「ちゃんと外で待ってやるさ。今は泣いてもいい。泣いて泣いて泣き抜いて、そこから前に歩き出せるかはあいつら次第だ。命懸けであいつらを守った大人たちに免じて、前に進む気があるのならその手助けはしてやるがな」


 出来る事なら彼らの親を生き返らせてやりたい。しかし、俺が持ってるのは死ぬ前に持ってないと意味がない身代わり人形。

 蘇生魔法は狂聖女しか俺は使えるやつを知らない。もちろん頼むことは不可能だ。


 ショップにも蘇生魔法だけは無かった。

 縁先輩なら間違い無く蘇生魔法を使えるはずだがこちらに至っては連絡がつかない。

 本心を顔に出したつもりは無かったがシースナは微笑んで俺を見た。


「しかしボス、旅ににつれていくには人数が多すぎませんか?」


「何言ってるんだ。世話するのはエスリメにいる俺だよ」


 外に出るとシースナはため息をついて見損なったように頭を振った。

 普通に考えてエスリメで暮らしたほうが幸せだろう。全部丸投げしてる様に見えるのは否めないが。てか実際そうだしな。


「……フェアリースにいる間は俺が面倒見るさ」


 地上は静まり返っていて、どうやらモンスターたちは狩り尽くされたらしい。

 ソランたちを見つけて子供たちについて話した。


「なるほど。通りで子供の死体がないわけです。墓は作りましょうか?」


「ああ。だが少し待て。死体を一箇所に集めろ」


「残酷な優しさだね雄亮君」


「……先輩、いつ来てたんですか。いや、そんなことより彼らを生き返らせることはできますか?」


「もちろんできるよ」


「なら」


「でもね。それはおすすめできないね。僕が見た限り子供たちはそれぞれの形で家族の死を受け入れる覚悟を固めようとしていた。なのに僕が今彼らの家族を生き返らせたら、もし次に同じことが起きた時に彼らは、同じように強い覚悟ができると思うかい?」


 先輩は意地悪や冗談で言ってるわけではないのは目を見れば分かる。珍しく真面目モードだ。


「彼らが二度と起こらない奇跡だと理解できる大人ならば、まだ余地はあったんだけど。あの年の子たちは夢を見てしまうからね」


 けど、できるのにしないってのは少し納得できない。なにより、俺は彼らの泣き顔を見てしまった。


「俺には…………まだ分かりません」


「君はまだ若いし、僕が言葉足らずなのもあるけど………………まあ、経験者の言葉だから覚えておきなよ」


 それだけ言って先輩は帰ってしまった。


「あの人、何しに来たんだ?」


「さあ、道を示すため?」


「むしろより迷った気がするんだが」

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