壊滅した村
日課となったモンスター狩りをしているある日、壊滅した村を見つけた。
二、三百人程度の村で、兵士や大人の妖精族の死体と十数匹のモンスターの死骸があって、家々は焼け落ちている。
「酷いわね。皆殺しだわ」
「村から生命力チューチュー吸ってた人が言うことか?」
「む、昔の話よ!」
そこまで昔でも無いと思うんだけどなあ。
「ユースケ様、来ます!」
ソランが警告した途端、隠れていたモンスターたちが現れた。
数は数十体。死骸も合わせると村を滅ぼすには十分すぎる数だな。
「殺れ」
「は!」
けどまあ、このメンバーなら負けない。
旅に付いてきているマスターたちは物理ファイターが多いからな。
ソランたちがとび出した中で、シースナだけは俺のそばに残っていた。
「どうした。行かないのか?」
「匂います。まだ生き残りがいます」
「ほう。連れて行ってくれ」
モンスターたちはソランたちに任せて俺はシースナが匂う場所へ向かう。
「ここです」
一見何もない所だったがシースナが地面の土を払うと、鉄で作られた頑丈そうな扉が現れた。
これに気付くとは、さすが獣人。並の人間より感覚が優れている。
「随分用意の良い村だな。開くのか?」
「鍵がかかってますね。こういうのはジョーカー様の担当です」
「あいつどこ行った?」
「お呼びですか?ボス」
ジョーカーはいつの間にか俺の隣にいた。
もうツッコまないぞ。
「ピッキングできるのか?」
「お任せを」
針金のような物を出して鍵穴に数秒突っ込んだだけでジョーカーは鍵を開けてしまった。
「ジョーカー、お前ダンジョンマスターになる前は一体何をしていたんだ?」
「クククッ。今は私の過去などどうでもいいでしょう。それよりも中を」




