多分製作者はアホ
「ロメイア、ニアラは左の箱に鎧を入れたんだろ?」
「なの。そしたら、鎧が消えて扉の向こう側から妖精の鎧の気配がするようになったの」
箱の後ろのメーターを見ると、三十センチくらいあるメーターの一ミリくらいが光ってる。
宝がどれだけ入ってるか分からないが妖精の鎧が入っていてこれか。
多分妖精シリーズは国一つ買えるくらいの価値はあるだろうに。それでこれか。
これ作ったの多分脱走勇者だろうけど何を買いたくてこんなバカみたいな貯金箱作ったんだ?
箱の文字は注意書きだな。
百垓ダーガ、ダーガって当時の通貨か?
このメーターは百垓ダーガまで貯まりますか。京の上の桁の金額集めて何したいんだ?
まあこの扉が開かない理由がわかったぞ。
この世界の人々は文字が読めないなら貯金できない。
勇者は個人だからこんな馬鹿げた金額集められない。そうやって数百年以上放置されたんだ。
「剣、試しにお前入れてみるな」
『え?ちょ主……』
妖精の剣を放り込むと一瞬で消えてしまって、メーターが気持ち増えた気がした。
海賊から奪った財宝の中で一番高そうな金の彫像を入れると全く変化が見られない。
この1ミリは先人たちの努力の結晶だということが分かって少し涙が出てきた。
そうだ。アダマンタイトの剣を入れてみよう。
剣を入れると妖精の剣よりも僅かだがメーターが動いた。しかし同量のただのアダマンタイトのインゴットでは全く動かない。
箱にギリギリ入るくらいの大きさのアダマンタイトを入れるとアダマンタイトの剣くらいメーターが動いた。
加工した方がメーターは上がるのか。希少価値ってやつか?それとも芸術的価値?
海賊の財宝全部入れてみよう…………ちょっと動いたな。金銀程度じゃ駄目か。
「帰る」
「もういいの?」
「少し準備が必要だ」
露店を冷やかしながら俺は城に戻り、スミススライムたちを使って準備を進めた。




