同じ考え戦法
案内された部屋は、男部屋と女部屋の二部屋でこの世界ではかなり高級な部類の家具が揃えられていて、一応もてなされていることは伝わってきた。
ただ、馬車の方が快適なので、後で布団は持ってこようと思った。
「それでは私は会議がありますので失礼します。御用の際はそのベルを鳴らしてください」
レジムが出ていったのを確認して、俺はソファーに体を沈めた。
「はーあ、まさかこんな事になるなんて……ジョーカーを先行させて助ければよかったかな?」
「くく、逆に私がロメイア殿に敵だと思われて攻撃されますよ」
「ユースケ様、これからどうするのですか?」
「ソランは何をすれば良い思ってる?」
俺の質問返しにソランは、顎に手を立てて少し考え込んだ。
「そうですね……ユースケ様はロメイア殿から妖精の鎧と盾の情報を聞き出してもらって、我々はロメイア殿の家臣がどうして我々を敵視したのか探りましょうか。予想ですが彼らは我々をエスリメ国ではなくダンジョンマスターとして見ていました。ユースケ様の顔を見るだけで分かるほど調査をしていたのならば我らの国の事はかなり詳しいはず。そしてエスリメは他国に対しては友好的な国をアピールしています。それなのに、先にダンジョンマスターとしての危険性が出たとすれば、どこかのダンジョンマスターが国盗りでも企てて襲ってきている最中なのかもしれません」
なるほど他のダンジョンマスターの仲間だと思われている説か。
全種族共栄を目指しているエスリメと見られていたら、ここまで疑われないだろう。
「ソラン、俺と同じ考えだな」
「ならば決まりですね」
「ああ、皆は他の線も考えつつ、ソランの予想の証拠を掴んでくれ。俺は、ロメイアから鎧と盾の情報を聞き出してみる」
「はっ!」
これぞ孔明から教えてもらった、俺も同じ考えだった戦法だ
先に部下に話させて良案が出たら、俺も同じ考えだと言うと、その案は俺の案になるのだ。
王が頭が悪いと外聞が悪いのでこれはかなり役に立つ。
頻繁に使うのが出来ないのが弱点だが、今回は上手くできたほうだろう。
「ユースケ」
「何?」
「食事に毒が盛られるかもしれないから気をつけて」
「ちゃんと蘇生アイテム持ってるから大丈夫だよ」
食事か……危ねえ、全く警戒してなかったぜ。
蘇生アイテムは持ってるけど毎回死ぬのは嫌だな。かと言って食事前に毎回解毒ポーション飲むのも嫌だ。あれ死ぬほどまずいんだ。
「…………よし、思いついたぞ」




