厄介なやつを助けてしまった
「好きなのぉ。白馬の王子様なの」
「いやいやいや!白馬でもないし王子でもないから。そもそもそんな表現されるほど見た目が整ってるわけでもないから!」
言い方によっては悪口だからな。
…………白馬の王子様って言葉こっちにもあるの!?
どの世界でもイケメンといえば白馬に乗ってる王子様なのだろうか。まあ、少なくともブサイク要素は無いな。
「絶対に一目惚れなの。いま心臓がバクバクしてるのがその証拠なの!」
違うぞー。今までモンスターに襲われてた恐怖の鼓動だぞー。
「ほら、聞いてほしいの」
フェアリーは俺の近くまで飛んできて体を俺の耳に当ててきた。トットットッと速い心拍が聞こえた。
だからこれ吊橋効果でしょ!
「胸が耳にあたってるの。ダーリンのエッチ!」
ペチッと小さな手で叩かれる。
当ててきといてエッチと言われたらもうどうしょうもない。
てか何気にダーリン呼びかよ。
「まあいいさ。もうモンスターに襲われるなよ」
「え、行くの?」
「仲間をまたせてるのでな。それじゃ………………おい!」
面倒なのでさっさと立ち去ろうとすると何かの魔法だろうか。体をガッチリと捕まえられた。
アダマンタイトアーマーをオートモードに切り替えたがそれでも動けないという事は普通の金縛りじゃないな。
…………ん?おい、オートモードは十トンくらいなら持ち上げられるんだぞ!
もしかしてこいつ、相性の関係でナメクジに勝てなかっただけで実はめっちゃ強いのか?
「離せよ!」
「嫌なの!王子様はどこにも行かせないの。ずーっとそばに置いてイチャイチャするの!」
「勘弁してくれ」
てか王子様って言わないで!
「ユースケ様ー!」
後ろから馬車で追いついてきたソランの声が聞こえた。
た、助かった。
「ダーリンのお友達なの?ご挨拶するのー!」
「あ、おい待て!」
フェアリーが馬車の方へピューッと飛んでいったことで金縛りが解けた俺も慌てて彼女を追いかけた。
「はじめましてー、ダーリンのお嫁さんのロメイアなのー!」
「やめろってー!」
フリーダムすぎるだろこのフェアリー!




