記者
「あのー、あなたは国王様でいらっしゃいますか?」
「はい、そうですが」
道を歩いていると女性に話しかけられた。
「やっぱり!私はこういう者です」
彼女が渡してきた名刺にはエスリメ新聞社記者ソーナと書いてある。
エスリメ新聞社は孔明が作った新聞社で主にエスリメに関係する記事を載せる新聞を発行している。
うちの国には珍しくヒューマンスライムが関わってない組織だ。
「本日は陛下に取材の申込みをしたいのですが…………プライベートな時間は駄目でしょうか?」
ここで断ったら後で孔明にグチグチ言われそうだな。
それよりも断った事を記事にされたらイメージダウンになるんじゃないか?
「別に、構わないぞ」
「ありがとうございます!」
俺がジーナと散歩中なのを伝えると、歩きながらで構わないと言ってきたのでそのまま取材を受ける。
「お子様がいらっしゃいますが、どなたが後継者になるのですか?」
「今の所決まってない。子供たちの誰かが国王になりたいなら、然るべき教育を受けさせて一人前になればいつでも譲る。居なければそのままだ。俺不老だし」
「なるほど!ズバリこの子のお母様は誰ですか?」
「俺の子はみんな養子だよ。母親は居ない」
「ふむ、独身と」
え?何?俺に奥さんいないって情報って需要あるの?
あ、俺国王だな…………こんな情報広めてから近づく女なんて皆財産目的じゃね?
「お付き合いしている女性は」
「…………いない」
「ジーナ、ぱぱのおよめさーん」
ジーナが俺の足にしがみついてそう言った。
はわわ、うちの娘天使すぎるわー。
「幼女趣味っと」
「違う!」
俺が声を荒げると、ソーナはころころと笑いながらメモを破った。
危うく俺がロリコンっていう嘘記事が国中にばら撒かれるところだった。
この記者ふざけてないか?




