殺しの基準
できれば人殺しは無しで行きたいところだが、死者の出ないダンジョンだと流石に舐められてしまう。
と言う訳で自己満足でしかないが、せめて善人だけは生かして返そうという結論にコアちゃんと決めた。
縁先輩から貰ったコアちゃんの新機能で侵入者の素性は分かるようになってるからな。
では、善人の基準とは悪人の基準とは何か？それを今から決めようと思う。
「まず、犯罪者は悪人」
「当然ですね。更生して善人になってた場合は？」
「ちゃんとお務めを完了してたらオッケー。再犯の可能性があったらアウトだな」
「軽犯罪はどうですか？」
「正直何が軽くて何が重いかがわからんな。同じ犯罪でも飢饉の村で食料を盗むのと、豊かな国の首都での食い逃げだと大分罪の重さが違うだろ？あと、悪意があるかないかとか」
その辺りはその場その場で判断するしかないな。
「後あれだ。美形の奴は性格がよかったら絶対に生かして帰す」
「何故ですか？」
「悲しむ人間はいるが、喜ぶ人間はほとんどいないからだ」
命は平等と言いながらも、皆処刑された犯罪者よりも暗殺された偉人の死を嘆く。
ブスメンの長男の葬式よりも、イケメンの次男の葬式の方が人数が多い。
道端の石ころよりも、地中深くある宝石を拾いたがる人の方が多い。
何故か？そう、美しいからだ。
美しい顔、美しい心、美しい物。それらが絶賛される中、そうでは無い者は何もしてもらえないどころか迫害される事まである。
悲しいかな人間はどうしてもそんな考え方をしてしまう。
もし、みんなから尊敬されるイケメンの聖人君子をこのダンジョンで殺してしまったとしよう。どうなるだろうか？
多分滅ぼされる。
仮にそこまでいかなかったとしても、保護されるダンジョンを目指してるのならわざわざ恨みを買って敵を増やすようなことはやめたほうがいい。
