マオ、就職を希望する
マオが先輩に怯える理由は、急に喚び出されて半殺しにされた挙げ句理由も知らされずにここに連れてこられたからだそうだ。
あの人結構自分の中で完結させて理由も満足に説明せずに動く癖があるからな。
それに半殺しにされたら怯えるわな。
「ケアパケ頂き」
「ぬ、よこせ」
「早いもの勝ちですよー」
「均、こいつ殺して物資にするか」
「そうですね」
「おい!」
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「流石にこのまま居候はまずい。何か余に仕事をくれぬか?」
マオが先輩に拉致られてきてから二ヶ月経ったある日、とうとう彼はそう言った。
自ら働こうとする気概は買うのだが、遅すぎないか?
二ヶ月もずっと食っちゃ遊び食っちゃ遊びの超羨ましい生活をこいつは送っていた。
ここに慣れるまではと目を瞑っていたが、せいぜいニ、三週間程度だと思ってたのに、一向に動く気配がなかったから根っからのニートではないかと疑う程だった。
「よくぞ言ってくれた!実は二つ任せたいことがあるんだ」
一つ目の仕事は、第二迷路のボス。蓮たちを放っておくと、いつ第二迷路が突破されるか分かったもんじゃない。突破されること自体はいいけど早すぎるのも考えものだ。
マオは縁先輩に半殺しにされたものの、一つの世界を危機に陥れるほどの強者だ。そうやすやすと蓮たちには負けないだろう。
二つ目の仕事は、闘技場、コロシアムを作ることなったがそこのトップをしてもらう事だ。
コロシアムを作ることになった経緯を話そう。
まずスライムダンジョンは気を付けさえすれば低ランクの冒険者でも死なないような難易度だ。
できるだけ死者を出さないようにという俺の気遣いなのだが、高ランク冒険者からは不満が出てきた。
張り合いがない、修行にならないと。
強者と戦える場がほしいらしい。
そこで作ったのがコロシアム。S〜D級までランク付けしていて、勝って昇格ポイントを集めることで上の級に行くことができる。
Sランクの昇格ポイントがたまりきったとき、マオとの対戦権が得られるという仕組みにしようと思う。




