サティの才能
「やっと来たか…………誰か乗ってる?」
目を凝らすと、赤ちゃんたちの世話を任せたヒューマンスライムのひとりだった。
何かを抱っこしている……まさか。
ドラドラが近くに降り立ち、軽い身のこなしで飛び降りてきたヒューマンスライムが抱っこしているのは……サティだった。
「申し訳ありませんユースケ様!」
「どうした?」
「サティちゃんが僕たちにユースケ様のところに連れてけって命令したんだ」
「サティが?一体どういう……ドラドラが喋った⁉」
「進化して喋れるようになったよぉ」
なんかイメージと違うな。
小学生ボイスでのんびりした喋り方なのに厳ついドラゴンだ。
サティに気を取られていて気づかなかったが、ドラドラの体が一回り大きくなっている。
黒いだけだった鱗の色に艶が出ている。
ブラックドラゴンからシャドウドラゴンに進化したようだ。
高位のモンスターは人語を喋れるやつもいるらしい。
ドラドラもようやくその段階まで来たか。
「進化したことは分かった。それで?二人ともどうしてサティの命令を聞けたんだ?サティはまだ二音しか喋られないんだぞ」
「それがね」
「言葉ではなく頭の中に直接イメージで訴えかけてくるのです。恐らくサティ様はテイマーの素質があります。加えてユースケ様のお子様なので我らも逆らえなかったのでしょう」
サティがテイマーか……てことはサティは俺のダンジョンのモンスターにならどいつにでも命令できるってことか。
「それじゃあ俺が命令しよう。今後サティの命令にはそれぞれの意思で従うか従わないか決めろ」
これでサティがもしもわがままなお嬢になったとしても、あいつ殺せ的な命令とかならモンスターたちが拒否できる。
子供の精神は不安定だからな。いつ変な命令してもおかしくない。
「ぱーぱ、だこ」
「はいはい」
サティがテイマーなのはもうどーでもいいや。
俺に会うために自分の能力を総動員してくれたことがとにかく嬉しい。
娘かわええ!