それぞれの道
ウォルテニアの件があらかた片付いたあと、俺は勇者たちと会っていた。
自由の身となった三人の勇者だが、それぞれ別の道を行くことになったらしい。
誠司はウォルテニア国の王になった。人質にされていた家族の娘と結婚したと言っていた。
年は15歳も離れているが…………まあ恋愛なんてそれぞれだし奥さんの方も幸せそうだから素直に祝福しよう。
蓮は自分は何をやりたいのか分からなくなったからエスリメに住むそうだ。
復讐が一段落ついて燃え尽き症候群になったみたいだ。
ただ、蓮の両脇には二人の女性が寄り添っていた。
は?死ねや…………ごほん。彼女たちを助けるために蓮は頑張ったのだから二人と生きていくためにもう一度立ち上がると俺は信じる。
さて、三人目の一番若くてウォルテニアへの恨みも一番少ない光だが。
「僕はダンジョンマスターと、いいえ、人を殺したあなたと馴れ合う気はありません」
戦争が終わってからずっとこの調子なんだよ面倒くさい。
「犠牲は最小限に収めた」
「本当ですか?あの兵力なら敵に犠牲を出さずに降伏させることも可能だったのでは?」
痛いところをついてくるな。
そりゃ時間をかければできない事もない。だけど今回はエスリメがウォルテニアに短時間での圧倒的勝利と言う成果が欲しかったからな。
そもそも敵の死者が数%の時点でかなり情けをかけている。
それを説明するが光はどうしても俺を悪者にしたいようだ。
「雄亮気にしないでくれ。戦争を知らないガキの戯言だ」
「何ですか!」
蓮と光が口喧嘩を始めてしまった。
「だったら僕は旅に出ます!この世界を見て回ってこの人が間違っていると証明してみせます」
とうとう光が言ってしまった。
どうしてそこまで俺を嫌うのだろうか?人質を取られていたから少ないがウォルテニアには恨みを持っていたはずなのに…………なんで?