攻略と挑発
マスターたちが待ってる司令室に行くと同時に、ウォルテニア軍がこのときの為に作った膝ほどまでの草が生い茂る、だだっ広い平原に転移してきた。
「ひとまず勇者たちは約束を守りましたね。ざっと4、5万ってところですか。この数なら属国の守りは最低限まで削ってるようですね」
強さも最低でもDランク冒険者程度の強さだ。
精鋭を投入してきたな。
「よし、均と老師は勇者と合流して人質を救出してくれ」
「了解」
人質救出には未来予知で人質の場所を探る均とその護衛のゴ老師だ。
気づかれると人質が危険にさらされるから少数だ。
「次に属国攻略担当。用意はいいか?」
ウォルテニアの属国は全部で17国。それぞれにダンジョンマスターの大将と副将、2メートル級アダマンタイトゴーレム百体、オリハルコンゴーレム二百体、ミスリルゴーレム七百体を向かわせた。
攻め落とすだけなら過剰戦力だが、これは攻め落としたあとの治安維持のための兵力だ。
攻めるだけせめてめちゃくちゃにしてさようならだと外聞が良くないからな。
『はい!』
「よし、攻め込め。作戦通りにしろよ」
『好戦的な指揮官を優先的に狙うですね』
「ある程度の数の指揮官は残せよ。降参できなくなって死兵になられると困るからな」
さあ、次はダンジョン内の本体だ。
「ホログラムプロジェクターは使えるか?」
「いつでもいけます」
「起動しろ」
建国宣言のときに使った俺の立体ホログラム映像を平原に居るウォルテニア軍全体に見えるように映し出した。
巨大な半透明の人間が現れて弓や魔法で攻撃してくるが、ただの映像なので当然全て通り抜けて地面に当たるだけだ。
慌てだしたウォルテニア軍に俺が話しかける。
「勇敢で愚かなウォルテニア軍よ。余はエスリメの王の五十嵐雄亮。諸君も気づいているだろうが、三人の勇者は余と手を取った。我が領内に攻め入った諸君は万死に値する。しかし余は寛大だ。これから諸君を蹂躙するが、武器を捨てて両手を上げれば戦闘中でも命は助けて捕虜として丁重に扱おう。何なら今すぐ降参しても良いぞ?」