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ウォルテニアのやり方

「しっかしあの勇者三人、あっさりと寝返ったなぁ」


「ウォルテニアは昔から勇者の扱いは酷いですからね。最近は転移魔法を真似できるようになって更に悲惨になってますから」


 いくら勇者たちがウォルテニアを憎んでも、彼らが裏切れない理由がある。

 まず国内の中で良く言えば心優しい、悪く言えばお人好しの国民の近くに勇者を召喚。


 そのような性格の人間は勇者を世話して、勇者は自然とその人間を信頼する。

 そして一年ほど経った頃に勇者と信頼を築いた者を監禁して人質として勇者が逆らえないようにする。


 ちなみにこの糞みたいなシステムを知ってるのはウォルテニアの上層部だけだ。


 これで大体の勇者はウォルテニアに渋々従うが、たまに孔明と均の様に人質を助けて逃げ出したり人質を見捨てる勇者がいる。

 そういう奴らが世界で活躍するので辛うじて勇者の名声は地に落ちてないのだ。


「孔明の場合は均の未来予知のおかげか?」


「はい。転移は勇者の標準能力ですから当然ウォルテニアも対策をして人質の場所が分からない上番兵を付けてきましたから均が居なければ私はウォルテニアに骨を埋めていたでしょう」


 孔明は均の未来予知で人質を見つけて、番兵が交代の隙を狙って転移してウォルテニアから逃げた。


 その後各地をさすらって最終的に龍人の里にたどり着き、孔明と均は龍の試練というものをクリアして今に至る。


「雄亮さん、リードさんから連絡です。冒険者が何やら騒いでいるようですよ」


 戦争なので一時的に出入国を禁止してるからな。

 依頼を受けてる冒険者にとってはたまったんじゃないだろう。


「依頼失敗の保障でも賠償何でもしてやるから黙らせろと言ってくれ」


「いえ、あなたが思ってるような事ではないようですよ。とりあえず行ってみましょう」


 ニコニコと笑いながら意味深なことを言う孔明を追いかけながら俺は冒険者ギルドに向かった。

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