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ドクタースライム

「あ、おかえりなさい。どうでした?」


「ああ、君の占いのお陰でこんなスライムをテイムできた」


「へえ、アダマンタイトスライムですね。中々レアなやつ捕まえましたね」


「知ってるのか⁉」


「はい。もうちょっと下の方に行ったら割と見かけましたよ。ああ、でもこのスライムって強い人から逃げる習性があるから見つからなかったんじゃないですか?お兄さんたち強そうですし」


 今回は部屋に閉じ込められてたから観念したってことか?

 だとしたら本当に運が良かった。

 いや、この少年の占いのおかげだったな。


「因みに宝石でできたスライムなんかもいましたよ。ですが、希少な価値を持ってるスライムは総じてその傾向がありますね。かなり弱いはずの俺でも剣に手を置いた瞬間逃げ出しましたし、所々スライムサイズの横穴があるから捕まえるの簡単じゃないんです。……あれ?お兄さん火傷してますね」


「す、少しマグマスライムにやられてな」


 ダレカは傷を負ったところを見られるのが恥ずかしいのか火傷を隠そうとする。


「ちょうど良かった。うちの店のサービスで、どのくらいの価値を付けたらいいか悩んでたのがあるんです。試してみて意見を聞かせてもらえませんか?」


 この兄妹に任せたら必要以上に安くするかもしれないからな。スライムの礼もあるし。

 俺は受けろとダレカに目配せする。


「頼む」


「良かったー。そのサービスはこのスライムを使った治療です」


 少年が呼ぶと奥から二匹のスライムが出てきた。

 出てきた二匹のスライムの片方は白衣を着ているような模様、もう片方は古の勇者が残したと言われるナース服と呼ばれる服に似た模様になっている。


「そのスライムは?」


「ドクタースライムとメディスンスライムです。ドクターが診察、手術して、メディスンが痛み止めや薬を投与、処方します。どんな病気や怪我にも効いて便利ですよ」


 本当かと最初は疑ったが、ドクターとメディスンの手際は見事だった。

 ドクターかダレカの体を這い回ったあと、メディスンと意思疎通して、メディスンが軟膏のような物をダレカの火傷に塗る。

 するとダレカの火傷がみるみる治っていった。

 まるで回復魔法をかけられたみたいだった。


「とまあ、こんな感じなんですがどのくらいの値段にしましょう?」


「……………………怪我に応じて値段を分けたらどうだ?軽傷銅貨五枚、重傷銀貨三十枚、瀕死金貨三枚ってな感じで」


「……なるほど。今度からそうしますね」


「もう少し高くてもいいけどな」


 王室付きの医者よりこっちのスライムたちの方がいい腕を持ってるんじゃないのか?スライムだから腕はないんだが。

 こんなスライムが手に入るダンジョン、ギルドはどう扱うだろうか。


「それじゃ俺たちはギルドに報告に行くよ」


「ではまた。次に来たときは他の商品も見てくださいね」


「ああ。是非そうさせてもらう。じゃあな」


 こうして俺たちは、この奇妙なスライムダンジョンを後にしてギルドのある街に向かった。

 …………できるだけ時間をかけて。

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