配下の幸せ
ジェイは俺たちが昼食を取ってるところで帰ってきた。
ずいぶん遅いお帰りだなあ。
「ようジェイ。イティさんとは上手いこといったか?」
「やっぱりそれが目的だったんですね…………そのう、ありがとうございました」
ジェイが苦笑いしながら礼を言ったことでうまくいったことが分かり、みんなが祝福の言葉をかけた。
「旅が終わったら盛大に式を挙げようじゃないか!何なら国全体でやってやろうか?」
「や、やめてくださいよ。フラグが建つじゃないですか」
……結婚が決まった時点でフラグはバチバチ建ってるんじゃないのか?
しかしジェイの言うフラグ云々にも一理ある。よし、ジェイには危険なことはさせないようにしよう。
「そうだ。結婚祝いだ。これを持ってな」
俺が取り出したのは一見なんの変哲もない藁人形。
しかしこれはとてつもない性能の藁人形だ。
「これは?」
「縁先輩特製身代わり人形だ。一度だけなら死んでもそいつが肩代わりしてくれる。フラグを建てさせた身としては心配だからな」
「あ、ありがとうございます!」
「ジェイ、どうせなら俺たちと合同で式を挙げないか?」
「いいわねそれ!流石アキト、冴えてるわ」
「余興はこのジョーカーがやりましょう」
何かガンガンフラグ建築していくなあ。
ここまでくると本当に不安になってくる。
「どうしたのヴァイオレットちゃん?」
「あれ?ネックレス…………あたしだけが特別ってことじゃ……え?」
「ソフィア、フィー、ヴァイオレットちゃんが壊れた」
なんか隅でヴァイオレットとエルフたちが騒いでいるがこちらの声にかき消されて何を言ってるのかわからなかった。
なんにせよ、ジェイが数百年ぶりの恋を叶えてよかった。
みんなも楽しそうに笑ってる。ジョーカーでさえ声で楽しそうなことが分かった。
俺はそれだけで満足だ。