理不尽
『主よ、この女きっと主に気があるに違いありませんぞ』
『分からんよー。親愛かもしれない』
最近俺は食い過ぎだってヴァイオレットをからかったりしたぜ。嫌だろ女子的には。
そのくらいなら分かる。
え?そこまで分かっていてなんでするのか?面白いからに決まってるだろ。
『ふむ、人間というものは分かりませんな』
『はっ、剣に理解されても嬉しくないね』
横になってくつろいでしばらくすると、ソランが全員戻ってきたと報告に来た。
「全員俺の部屋に集合と言ってきてくれ」
「はい」
「俺たち、でしょう?」
ソランが出て行ったあと、耳元でヴァイオレットが囁いてきた。
それキュッとなるからやめろ!
ジェイ以外のマスターが揃い、皆俺が話し始めるのを待つ。
「よし、知ってる奴もいるだろうが俺たちの国、エスリメの建国式があるらしい。俺たちも式を見物しようと思うが、異論はあるか?」
もちろん誰も反対しない。そりゃ一度だけの建国式だ。見に行かないと損だろう。
「後はジェイが帰ってきたら温かい目で見てやれ」
俺の冗談にジョーカーはクククと笑って会議は終わった。
■□■
隣でヴァイオレットが寝ていて気になって眠れないかと思ってたが、なんだかんだで疲れてたんだろうすぐ眠れた。
目を覚ますとバッチリ目の開いたヴァイオレットが俺の上に覆いかぶさって息がかかる程近くまで顔を近付けていた。
「あっ」
うーん、ここで言葉を間違えると死ぬな。
「おはようヴァイオレット!いい朝だな!」
にこりと笑って挨拶をするが、ヴァイオレットの顔は今まで見たことないくらい赤くなる。
「な、なん」
「ナン?」
朝飯か。カレーも用意しよう。
「なんで今起きるのよー!」
バシーン!とダンジョンマスターの平手打ちを打たれたことによって俺は部屋の壁まで吹き飛ばされた。
衝撃を受け流したが痛い。
反射が間に合わなかったら首が二、三回転してたんじゃないか?
それにしても今回に関しては俺に非は無いはずだ。今なんで起きるのよ?どうしてそんな理不尽な事で怒られた上に命の危険に晒されなければならないのだ?
いろいろ納得いかない俺はとりあえず元凶の名を叫んだ。
「ジョォーカァー!」