同室
大通りで合流したソランに宿まで連れて行ってもらうと、どうやら街一番の高級宿にチェックインしたらしい。
なぜ分かるのかというとその宿が宿通り(勝手に命名)の宿の数倍大きい上、豪華だからだ。
「…………まぁいいや。他の奴らが帰ってくるまで部屋で休むか」
部屋割はソフィア、フィー、ピクリナ、シースナの四人部屋、アキトとイーナの二人部屋、ジョーカーとソランの二人部屋、俺とヴァイオレットの二人部屋だ。
「っておい!」
「どうしました?」
「どうして俺とヴァイオレットが同室なんだ⁉」
「ジョーカーが部屋割を決めてこれで良いと」
あのクソピエロ!
「そうだ!ジェイの部屋が」
「どこかに泊まるだろうと取ってません。ちなみにもう満室です」
なんであいつこんなに勘がいいの!
ダンジョンバトルのときにも活かしとけよ。そしたら俺ももっと追い詰められたのかもしれないのに。
「あら、あたしは気にしないわよ」
俺が気になるんだよ!気になって夜眠れないだろ!
しかし俺の意見は流され、ヴァイオレットと同室にされてしまうのだった。
俺君たちの盟主だよね?
仕方なく部屋に行ってみたが、流石高級宿だ。部屋がすごく大きい。
風呂付きトイレ付きキッチン付き。住めるじゃん。
ベッドのふとんは…………うーん、普通。まあこの世界ならこんなもんか。
「エスリメの布団に慣れてるから物足りないわね」
俺と同じようにベッドにダイブしたヴァイオレットが感想を言う。
「エスリメねー、なんとも安直な」
「気に入らないの?きれいな名前じゃない」
スラヌメ王国とかスラダン王国よりましか。
俺のネーミングセンスを考えれば満点ってとこだな。
「ねー、ヴァイオレット?」
「何?」
「なんでベッドが一つしかないの?」
俺とヴァイオレットは同じベッドにダイブして真隣で話をしていた。
これ家族用じゃん。
「あ、あたしは気にしないわよ」
うっそだー、顔真っ赤だよ。




