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妖精の剣の反逆

 そのくらいならとベルトから鞘ごと妖精の剣を外してシゼールに渡した。


「……ん?おやおや、はははそうですか」


 剣の柄を握って変にニヤニヤしながら独り言を言うシゼールを俺含め皆が奇妙な物を見るような目で見た。

 妖精の剣はサイレントの魔法をかけた鞘に入れてるから話せないはずだが……。


『どうしたんだ?シゼールさんにもメッセージをかけたから教えてほしい』


『自分にあなたを切れと言ってきましたよ。その後試練の山に戻してほしいと。どうやらサイレントをかけられていても柄を握ってる者には話しかける事ができるみたいですね』


 この野郎。剣のくせに生意気にも俺に対して反抗しようと虎視眈々と機会を伺っていたな。

 俺も何度か柄を握ってるのに話しかけないから完全に話せないものとばかり思ってた。


 だが、味方に選んだシゼールから秒で裏切られたのが運の尽きだな。

 今はガタガタ震えている。

 …………剣なのに無駄に感情表現豊かだな。


『スーパーホーリースミススライム、早く作らないとなぁ』


 シゼールから剣を返してもらい、柄を握るとやかましの剣は全力で謝罪してきた。


『申し訳ない!出来心だったのだ。もう二度としないからやかましの剣だけはどうか!』


『じゃあ俺を主と認めろ』


『ぐ、それは…………そういえば、貴様国王とか言ってなかったか?』


『貴様?』


『貴方様は国王であられますか?』


『建国式はまだだが一応な』


 強者にとことん弱いやかましの剣はしばらく黙る。

 なにか考え込んでるようだ。


『ダンジョンマスターではなく…………民を率いる国王としての貴方ならば主と認めよう』


 諦めたように妖精の剣はそう言った。

 自分の中での妥協点を見つけたみたいだ。

 それとも何か主を決めるための制約でもあったのだろうか?それとも自分のプライドか?


「ユースケ、さっきから口パクパクさせて何してるの?」


「……何でもない。アースラさん、刀はプレゼントするからさっきの話よろしく」


「何⁉それは本当か!」


「ほんとほんと。そんじゃまた」


 積もる話もあるだろうからジェイを残して俺とヴァイオレットは職人通りに出た。


「ジェイとイティさん付き合うのかしら?」


「さあな。それは本人たち次第だろ………………ヴァイオレット、俺たちは大通りまで出られるのか?」


「もう!カッコつけるからこうなるのよ!」


 その後俺たちは数時間通りをさまよった挙げ句、親切なドワーフに助けてもらってようやくソランたちと合流できましたとさ。

 この年で迷子か。あー恥ずかしい。

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